スペクトル型

読み:スペクトルがた
品詞:名詞

恒星の分類方法の一つ。恒星の色、より正確にはスペクトル線の種類と強さによって分類するスペクトル分類で使われる。現在はハーバード式分類法によるものが一般に使われている。

目次

一般には()O‐B‐A(青白)‐F(白)‐G()‐K()‐M()‐L‐T(暗赤)と分類する。

化学組成により、C型(N型やR型)、S型などとすることもある。

高温側からABC順に並んでいないのは、ハーバード大学の研究中に付けられた記号が由来なため。当初は色と温度の関係が知られていなかったため、ありふれた色から順にABC…と記号を振っていった。後に色と表面温度の関係が判明したため、これを表面温度順に並べるとO‐B‐A‐F‐G‐K‐Mというデタラメな順番になってしまった。

分類

基本的には、表面温度や色によって分類する。表面温度の範囲については、学説により様々あるので、ここでは一例とする。

表面温度(K)
O型≧30,000
B型10,000-30,000青〜青白
A型7,500-10,000青白〜白
F型6,000-7,500白〜黄白
G型5,200-6,000
K型3,700-5,200
M型2,400-3,700
表面温度(K)
L型1,300-3,000暗赤
T型750-1,000暗赤(赤外線)

L型とT型は褐色矮星を表わすため近年導入された、極めて低温の天体を表わすものである。

このほか、特殊な型として、次のようなものも使われる。

  • W型: ウォルフ・ライエ星 (表面温度はO型以上)
  • C型: 炭素星 (シアン暗帯が著しい星。表面温度はM型〜K型程度)

    炭素により青い光が吸収され、非常に赤く見えるのが特徴。

    ハーバード式分類法では、M型の分流をN型、K型の分流をR型としている。

  • S型: 酸化ジルコニウムの暗帯が著しい星 (表面温度はM型程度)

なお、OBAFGKMの順番を覚えるときは、"Oh Be A Fine Girl/Guy, Kiss Me"(ああ、素敵な彼女/彼になって、私にキスをして下さい)とするらしい。日本語では「お婆河豚噛む」などの覚え方がある。

性質

  • O型は電離ヘリウム、高電離の酸素、窒素、炭素の線が見られる。
  • B型は水素のバルマー線が見られ、中性ヘリウム線(HeⅠ)はB2で最強。
  • A型は水素のバルマー線がA0で最強。電離金属線も強くなる。
  • F型は水素のバルマー線が弱まりCaⅡ(H,K線)が強まる。金属線が目立つ。
  • G型は水素線は目立たず、CaⅡ(H,K線)が最強。CH分子帯(G帯)が強まる。
  • K型はCaⅡ(H,K線)が幅広く、中性金属線は重なり合う。
  • M型は中性金属線が強い。TiO分子の吸収帯が最も強いのが特徴。
  • L型は水素化金属や中性金属の吸収帯が強い。TiOやVOは殆ど見られない。
  • T型は木星のようにメタン(CH4)のバンドが強い。
用語の所属
スペクトル分類
関連する用語
光度階級
HR図
HDカタログ
スペクトル
恒星

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