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原子力発電の核分裂反応により生成され、再処理によって回収されたプルトニウムを、再び原子力発電で利用すること。資源のリサイクルの一つ。
プルサーマルの「プル」はプルトニウムのこと。「サーマル」は、軽水炉の別名である熱中性子炉(Thermal-neutron reactor)のことで、それぞれから取られた名である。
ただしこれは和製英語(?)であり、英語圏では通じない。
理想的ではあるが、その一方でプルサーマルの実現には大きな危険も伴う。
問題は大きく「燃料製造過程」と「燃料の利用」とに分けられる。
燃料製造、つまり燃料の再処理は、軽水炉での使用済み核燃料に数%含まれるプルトニウムを抽出することである。
燃料棒を切断して濃硝酸で溶解することになるが、この時、核分裂でできた様々な放射性物質が放出される。
また万一プルトニウムやウランが臨界量を超えて集まると、臨界事故が起きてしまう恐れがある。
MOX燃料ではα崩壊するプルトニウム238、プルトニウム239、アメリシウム241などを含む。α線は直ぐに熱に変わってしまうため、これらはウランなどと比較すると非常に発熱し、製造にも、貯蔵にも、発熱に対する対策が必要となる。
更に、抽出に使う有機溶媒は火災を起こしやすいが、もし再処理工場で火災になればプルトニウム微粒子が撒き散らかされる可能性もある。そうでなくともプルトニウムがβ崩壊してできるアメリシウム241はγ線を放出し、作業者を被曝させてしまう。
プルサーマルに限らず、原子力発電は危険である。しかし、原子力発電を止めることはエネルギー需要を考えると不可能である。
そして、日本が危険を冒してまでプルサーマルを推進するのは、これもまた止むに止まれぬ事情があるからである。
日本の原子力基本法は平和利用を明言しているため、余ったウランやプルトニウムを集めて核兵器を作る、ということが出来ない。だが、プルトニウムはソフトボールくらいの大きさがあれば、核兵器になってしまう。
実際には「核兵器にならない同位体」も多いが、説明しても分かろうとしない人は分かってくれないので、余剰なプルトニウムを持てば核兵器開発の疑念が持たれるのは避けられない。ゆえに、大量に国内に蓄積できないという都合がある。
そこで何とか再利用してでも使わないと、色々な意味でやっかいなゴミになってしまうわけである。加えて使用済み燃料の保管場所にも限度があるので、いずれにせよ何らかの処置をせざるをえない。つまり、仮に採算割れであってもプルサーマルをせねばならないというのが実情なのである。
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