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JRの旅客営業規則86、87条で定められている、11の都区市内で適用される料金制度のこと。
この制度は、普通に運賃を計算する場合と比べて、得をする場合も損をする場合もあるので、注意が必要である。
この制度適用駅では、駅名標の主として右上などに、その表示がある。
区市の場合は黒い四角に白文字で、山手線内は白い四角に黒文字で、一文字が書かれている。
常磐線東海駅から新宿駅までを例とする。
最短経路で運賃を計算すると141.3kmとなり2,520円となるところだが、新宿は東京山手線内の駅で、東海は東京駅から101km以上離れているため、運賃は東京〜東海の135.8kmで計算し2,210円となる。
静岡駅から品川駅までは、そのまま計算すると173.4kmで2,940円となるところだが、品川駅は東京山手線内の駅のため、静岡〜東京の運賃を適用しなければならない。従って3,260円(180.2km)となってしまう。
また、保津峡(京都市内)駅から塚本(大阪市内)駅まで、山陰、福知山、東海道経由で切符を買うときは、そのまま計算すると185.0km、3,260円となるところだが、それぞれの市内の中心駅である京都駅から大阪駅までは202.7kmとなるので、運賃はこの距離で計算して3,570円となる。
中央本線笹子駅から新宿駅までは、そのまま計算すると90.1kmで、運賃は1,620円となるはずだが、新宿駅は東京山手線内の駅であり、笹子〜東京は101km以上(100.4km、0.4kmは切り上げ)のため、運賃は笹子〜東京の1,890円となってしまう。
しかし、新宿駅から埼京線に乗って数駅離れた板橋駅まで切符を買うことを考える。板橋駅は東京山手線内の駅ではないので、普通に運賃を計算する。すると運賃は1,620円(96.7km)となる。すなわち新宿へ行く場合は板橋まで切符を買い、新宿で前途放棄をするだけで270円が浮くことになる。これについては国鉄時代に「新宿は笹子→板橋の運賃計算経路上の駅であり、運賃計算経路上での下車は区間変更にあたらないので、差額の支払いは不要」との見解が示されている。
さらに大きな矛盾が生じる場合には、旅客営業取扱基準規程114条が適用される。
東海道本線大高(名古屋市内)駅から天王寺(大阪市内)駅まで、東海道、大阪環状経由で切符を買うとする。天王寺〜名古屋は201.1km、大高〜大阪は202.8kmだが、名古屋〜大阪が190.4kmと201km未満のため、双方に特定都区市内制度を適用することはできない。
このように、発駅も着駅も中心駅から201km以上離れていて、中心駅同士の計算では201km未満となる場合は、発駅または着駅のどちらを特定都区市内制度適用とするかを、旅客が選ぶことができる。
すなわち、大高〜天王寺の場合は、[名]名古屋市内→天王寺、または大高→[阪]大阪市内のどちらかの切符を、旅客は選ぶことができる。
[区]東京都区内発の切符を持って、東海道本線蒲田から東海道新幹線や東海道線特急などに東京駅から乗る場合、厳密には蒲田→東京が復乗となるが、現状ではこのケースでの別途運賃徴収は行れていない。
これは旅客営業取扱基準規程第150条で定められており、他の特定都区市内でも同じ取り扱いである。
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