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第三セクター鉄道の一つ。本社は千葉県夷隅郡大多喜町。略称「い鉄」。
慢性的な赤字ローカル線で、存続が危ぶまれている。
2009(平成21)年に民間公募で鳥塚亮社長が就任、以降、画期的な挑戦の数々で経営改善の努力がなされている。
同じ千葉県で、距離もさほど遠くないローカル線に銚子電気鉄道があるが愛の手で蘇った。そして、い鉄も同様に愛の手が差し伸べられることになった。
銚子電鉄のような衝撃的デビュー(?)を果たせなかった「い鉄」、ここから、鉄道ファンや、鉄分が足りない人の心をググッと掴み、さらに注目も集めるためには、萌えが必要である(多分)。
かくして、日本を代表するイラスト投稿SNS、TINAMIの協力を得て『TINAM×いすみ鉄道 菜の花満ちる“い鉄っ娘”キャラクターコンテスト』が開催され、応募された中から、イラストレーター月邸沙夜(げってい さや)が描いた「上総いすみ」(かずさいすみ)が公式に採用されるに至った。
彼女は「いすみ鉄道」と「菜の花」をイメージしたオリジナルキャラクターで、上総国(いすみ鉄道が走る千葉県南部の旧国名)のかみさまに仕える「菜の花の精」という設定。いすみ鉄道を2010(平成22)年に引退した「いすみ204号」に頼まれ、いすみ鉄道を見守るためにやってきた心優しい妖精とされる。ベテラン気動車「キハ52」と仲がよく、キハ52を模したポシェットと、菜の花を模した振袖をトレードマークとしている。
標準の4.5頭身程度のキャラのほかに、デフォルメされた2頭身のキャラも用意されている。例によって豪快なアホ毛がある。
運転士の採用も画期的である。
いすみ鉄道は経緯から、従業員はJR東日本からの出向者が多い。独立した事業者としては新たな運転士の確保も必要だが、新卒者を採用して養成するだけの資金は無い。そこで、訓練費700万円を自己負担する条件で乗務員を募集するという、前代未聞、おそらく空前絶後の募集を掛けたところ、更に驚くべきことに多数の応募があった。
中から4人が採用され、2010(平成22)年5月から訓練を開始、2011(平成23)年12月に「動力車操縦者運転免許」を取得し、無事にディーゼルの鉄道車両を運転できる資格を得た。
いすみ鉄道によると、今後は乗客への対応などで約半年間の習熟訓練を実施し、その後は契約嘱託運転士として採用されてから1人乗務(つまりワンマン運転)を開始するとしている。
2011(平成23)年現在は2期生2人が研修中で、2012(平成24)年1月には3期生4人の募集を開始する。
不死身の銚子電鉄がしっとり美味しい地元名産「ぬれ煎餅」で経営を支えるというのなら、い鉄は、それを揚げた、香ばしく、だがしっとり美味しい「い鉄揚げ」を提供している。
普通の味のほかに、第二弾「カレー味」、第三弾「かりんとう味」とシリーズ化されている。
「キハカレー」と称し、気動車のキハをパッケージ写真としたPB商品なども登場した。
こうした血のにじむような努力と多くの貢献者のお陰で、もうしばらくは存続するめどが立った。
近年は売店の売上なども伸びており、経営状態も改善傾向にあるとされる。
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