機動戦士ガンダム (TV)

読み:きどうせんしガンダム
外語:Mobile Suit GUNDAM 英語
品詞:固有名詞

1979(昭和54)年4月7日〜1980(昭和55)年1月26日で全43話放映された日本を代表するロボットアニメの一。企画制作は日本サンライズ(現:サンライズ)。制作は名古屋テレビと創通エージェンシー。総監督は富野喜幸(現:由悠季)。原作は矢立肇(サンライズ原作の代表名)。キャラクターデザインは安彦良和。メカニカルデザインは大河原邦男。美術設定は中村光毅。アニメーションディレクターは安彦良和。脚本は星山博之、山本優、松崎健一、荒木芳久、富野喜幸("時間よ止まれ"の一話のみ)。

U.C.(Universal Century:宇宙世紀)0079年、多くの人類が衛星軌道上に作られたスペースコロニーを第二の故郷として生活し、そこで子供が生まれ世代を経るようになった時代。月の裏側のラグランジュポイント(引力均衡点)という地球から最も離れた位置にあるサイド3コロニー群はジオン公国としてU.C.0079年1月3日に独立宣言を行ない、地球連邦政府に対して宣戦布告した。これが後に "一年戦争" と呼ばれる戦争の始まりである。開戦後わずか数ヶ月で人類は人口の約半数を失うという事態となり、戦争は膠着状態に陥った。そしてU.C.0079年9月18日、サイド3から最も遠い位置にあるサイド7の1バンチコロニーにおいて "V作戦" という地球連邦軍のモビルスーツ開発計画のテストが行なわれていることを察知したジオン公国軍はモビルスーツ "ザク" による偵察を行なったが、ここで功を焦った兵士が強襲行動に出たためにコロニー内で戦闘が発生する。その中で連邦のモビルスーツ開発者を父に持つ "アムロ・レイ" は、偶然連邦のモビルスーツである "ガンダム" の操縦マニュアルを手に入れ、ザクに対抗するためにガンダムに乗り込み、稚拙な操縦ながらもこれを撃破した。軍人の大多数を失い民間人ばかりになった彼らは新鋭戦艦 "ホワイトベース" に乗り込み、避難のため地球連邦の基地に向かうことになるが…そして物語はここから始まっていく。

"海のトリトン" の演出で注目を集めた富野喜幸が総監督を務めるロボットシリーズで、"ザンボット3"、"ダイターン3" に続く第三弾として登場した。ザンボット3では斬新なハードなストーリー展開、ダイターン3では老けた(青年の)主人公に派手な演出と洒落たギャグノリという評価が真っ二つに分かれる作品を示し、ガンダムも微妙な状況でスタートすることになった。放映当初は一部の男女双方を含むマニア層から大きな注目を集めたものの視聴率は非常に悪く、本来は全52話を予定としていながらも打ち切りが決定、後半のストーリーを短縮し43話で完結することとなった。しかし単純な善悪だけでは無い戦争や、政治などの複雑な物語背景、兵器としての性格付けがなされたモビルスーツの扱い、登場するキャラクターの微妙な心理描写や人間関係など、従来のヒーロー然としたアニメ作品には見られなかった内容が話題となり、再放送において爆発的な視聴率を稼ぎ出すこととなった。また1980(昭和55)年7月に発売されたプラモデルは社会現象を起こすほどにヒットし、三部作の映画化(1981(昭和56)/3〜、1981(昭和56)/7〜、1982(昭和57)/3)にも成功したことでSFアニメの金字塔と呼ばれる宇宙戦艦ヤマトに続くエポックメーキングな作品として一気に評価が高まることになる。その後大量の "リアルロボット物" と呼ばれるガンダムの二番煎じ的なロボットアニメを生むことになり、またそれらの作品にとって永遠に超えられない理想となった。なお社会現象化したプラモデルは "ガンプラ" と呼ばれ、その後20年以上に渡って販売元であるバンダイの唯一無非の主力となり続ける怪物商品となっている。

その後、1985(昭和60)年より7年後が舞台の "Zガンダム"、"ガンダムZZ"という続編シリーズがスタートし、1988(昭和63)年にガンダム10周年記念作品としてアムロとシャアの物語の完結編となる映画 "逆襲のシャア" が制作された。但しこれらはガンダム以外で主流と成り得る商品を出せずにいたバンダイのプラモデルのための商品企画という要素も強い。その後は1989(平成元)年に初の富野監督以外の手によるガンダム作品でありかつ初のOVA作品である "0080 ポケットの中の戦争" が制作されガンダムというアニメの新しい商業展開が模索され、1991(平成3)年には90年代のガンダム像の模索として、新世代のガンダム作品である映画 "F91" と旧作のコアなマニア層を狙ったOVA "0083 STARDUST MEMORY" が制作された。1993(平成5)年にはF91の流れを受けた正統派の新作となる久々のTVシリーズ"Vガンダム" がスタートし、さらにその後番組として1994(平成6)年には"機動武闘伝Gガンダム" を始めとする従来のガンダム世界とは独立した作品群("新機動戦記ガンダムW" や "機動新世紀ガンダムX")が生まれた。これらの独立作品群は固有のファン層を生みつつも旧作ファンの反発をも生み、それに対応するように一年戦争を舞台としたマニア向けのOVAである"第08MS小隊" も登場した。そしてガンダム20周年に当る1999(平成11)年を前後して "GUNDAM BIGBANG PROJECT" と銘打って各種のイベントや商品展開が成される中、本命である新作TVシリーズ "∀ガンダム" が制作された。またハリウッドによる実写映画 "G-SAVIOR" も制作された。

"スペースコロニー"、"ミノフスキー粒子"、"モビルスーツ" の3つがガンダムの世界におけるSF的世界観の重要なキーワードとされている。ジオン公国はミノフスキー粒子というレーダーや未対策の電子機器を無効化可能な技術を用い、その環境下で絶大な効果を発揮するモビルスーツという有視界戦闘用の空間機動兵器を開発した。これと、スペースコロニーを地球地表上に落下させるというコロニー落とし作戦を用い、物量では圧倒的に劣りながらも地球連邦軍と互角の戦いを可能としていた。それがガンダムをはじめとする地球連邦製のモビルスーツの開発によって戦局が大きく変わっていくことになる。

技術的なSFキーワードと別に、物語中盤以降から "ニュータイプ" という人の革新を意味するキーワードが頻繁に登場し、物語終盤では重要なテーマの1つとされた。この言葉の定義は厳密にはされておらず、人類が宇宙に出ることで生まれる認識力の拡大と解説され、しばしばテレパシーなどの超能力(ESP)のような現象を従って表現される。なお、このニュータイプという設定は元々は単なる素人のはずのアムロが天才的なパイロットとなっていくことを説明し演出する目的で、後から作ったものであったことを富野監督は後に語っているが、人の革新というテーマを気に入ったのか当初の意図とは別に小説版ガンダム(ストーリーや設定的にはアニメ版と異なるオリジナルとなっている)や各種続編において、話の収拾が付かなくなるほどの重要なテーマとして扱われることになる。

声の出演 (:1/2/3は映画版)
・アムロ・レイ                古谷徹シャア・アズナブル          池田秀一
・ララァ・スン                潘恵子
・ブライト・ノア              鈴置洋孝
・カイ・シデン                古川登志夫
・ハヤト・コバヤシ            鈴木清信
・リュウ・ホセイ              飯塚昭三
・スレッガー・ロウ            玄田哲章、井上真樹夫:2-3
・ミライ・ヤシマ              白石冬美
・フラウ・ボウ                鵜飼るみ子
・セイラ・マス                井上瑶
・キシリア・ザビ              小山まみ(小山茉美)
・ギレン・ザビ                田中崇(銀河万丈)
・ドズル・ザビ                長堀芳夫(郷里大輔)、玄田哲章:3
・ガルマ・ザビ                森功至
・デギン・ザビ                永井一郎、藤本譲:1、柴田秀勝:3
・カツ                        白石冬美
・レツ                        鵜飼るみ子
・キッカ                      井上瑶
・ハロ                        井上瑶
・マチルダ・アジャン          戸田恵子
・ミハル・ラトキエ            間嶋里美
・レビル将軍                  池田勝、村松康雄:1-3
・テム・レイ                  清川元夢
・カマリア・レイ              沢田敏子、倍賞千恵子:1
・ガデム                      水島鉄夫
・デニム                      緒方賢一
・ジーン                      岩本紀昭
・イセリナ・エッシェンバッハ  上田みゆき
・ランバ・ラル                広瀬正志
・クラウレ・ハモン            中谷ゆみ
・ガイア                      徳丸完
・マ・クベ                    塩沢兼人
・カムラン・ブルーム          塩沢兼人、村山明:3
・シャリア・ブル              木原正二郎
・ナレーター                  永井一郎

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