機動戦士ガンダムⅡ 哀・戦士編

読み:きどうせんしガンダムトゥー・あいせんしへん
品詞:固有名詞

機動戦士ガンダム劇場版三部作の第二作。1981(昭和56)年7月11日公開。

第二作目での収録範囲は、テレビ版の第16話("セイラ出撃")から第31話("ザンジバル追撃!")迄となっており、ランバ・ラルとの対決、アムロの脱走、ホワイトベース内での白兵戦、黒い三連星の攻撃とマチルダの死、ハモンの追撃とリュウの死、カイとミハルの悲恋、シャアの復活、ジャブロー攻撃、セイラとシャアの再会、アムロとシャア(ズゴック)の対決、そしてホワイトベースは再び宇宙へ…という流れで、ヨーロッパ・オデッサの闘いから大西洋越え、そして南米ジャブローの攻防戦を中心に構成されている。舞台が何度も大きく移動する上に中心となるキャラクターが場面ごとに異なるため話としては繁雑な傾向があるが、大きな見せ場が多く、特に最後のジャブロー戦はほとんど全面的に新作カットとなっており、テーマ曲である "哀戦士" のBGMと共に密度が高く見応えがある。

また最初のセイラの出撃をはじめとして、キャラクターの描写が一作目以上の品質で描き直されており、脱走したアムロが挿入歌 "風にひとりで"をBGMに砂漠を歩くシーンや、最後にホワイトベースが宇宙に向けて発進するときのフラミンゴの群れなど、印象的な場面が多い。むしろ重要なシーンを強く印象付けることで繁雑な内容を濃い内容として演出していると言える。ダイジェスト化されることでアムロの葛藤や心理変化が捉えやすくなっており、またテレビ版に比べてニュータイプの扱いがやや強く、ランバ・ラルをはじめとして敵兵と直接絡むシーンも多いことや、マチルダとリュウの戦死が連続的に描かれるなどの構成変更から、アムロをはじめとするホワイトベースの面子の戦士としての成長が中心的なテーマとして描かれる形となっている。

メカニック描写の大きな変更として最も目立つのが、ガンダムと分離、合体するGアーマーが無くなり、代わりにコアファイターの追加装備として登場したコアブースターである。なお、コアブースターのパイロットにセイラが選ばれた理由はニュータイプ適性テストの結果とされており、この付近のシーンでは執拗にニュータイプの存在とホワイトベースがモルモットとして実験扱いされていること、アムロが貴重なサンプルとして認識されていることが示されている。

この作品では重要なポイントでBGMとして使われているテーマ曲 "哀戦士"と挿入歌 "風にひとりで" の出来による効果が大きく、屈指の出来のアニメソングとして今でも高い人気を誇っている。なおこの曲を歌っているのは元ブルー・コメッツの故・井上大輔である。

なお、副題には "哀・戦士" と点が付き、主題歌は "哀 戦士" と付かないのは、富野監督が副題として "哀戦士" を提案したところ、安彦良和が"僕は造語って嫌いなんです" と反論したため。そのため妥協案として哀と戦士の間に点を入れることになったが、主題歌については作詞した富野監督のごり押しでそのまま通すこととなった。ちなみに富野監督はこれに限らずほとんどの作品で共通して "造語好き" である。

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