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アニメ "機動戦士ガンダム" に登場する人型の有人機械のこと。
ジオン公国(サイド3と呼ばれるスペースコロニー群が独立宣言を行なって名乗った国名)によって、元々は宇宙空間用の作業用機械として開発され、その後戦闘用機械として実用化(最初の実戦用機はMS-05"ザク")し地球連邦軍との戦争(宇宙世紀0079〜0080年、1年戦争と呼ばれる)において主力兵器となった。
ガンダムの世界ではミノフスキー粒子というレーダーを無効化する技術があることになっているため、宇宙空間での有視界戦闘での高機動兵器による攻撃が有効であり、これにより国力では圧倒的に劣るジオン公国が連邦軍の艦隊に対抗可能となった。ジオン公国ではこのモビルスーツとスペースコロニーを地球地表上に落下させる "コロニー落とし" と呼ばれる作戦により戦争序盤での圧倒的優位を築くことになる。
その後、ジオン公国のザク等の入手・解析によって連邦軍側でも半年以上遅れてモビルスーツの開発に成功し、膠着状態に陥っていた戦争が急激に展開していくことになる。アニメの本編ストーリーはここから始まる。
それまでのロボットアニメではこのような兵器として現実味のある設定が作られることは殆ど無く、画期的だとしてマニアの注目を集めることとなる。これらはスタジオぬえに対して "従来のアニメに無かった設定を" と発注され、これに対してスタジオぬえ代表の高千穂遥がハインラインの小説 "宇宙の戦士" に登場するパワードスーツを紹介したことから設定が作られてゆくことになるが、最終的に上がってきた設定にはパワードスーツの面影はかけらも残っていなかったため、高千穂は激怒したと言われる。ただし、その他の細かなSF設定も含めてスタジオぬえの功績は多大なものである。
アニメ放映開始後、バンダイから(これも当時としては画期的な)一般的な航空機プラモデルに順じた1/144などの固定縮尺スケールによるプラモデルが発売され、"ガンプラ"(ガンダムのプラモデル)として社会問題にまで発展する巨大なブームとなった。朝早くからデパートなどに小学生を含む子供が多数詰め掛け、将棋倒しによる怪我人続出などの事件も多数発生している。さらにガンダムの裏設定として、メカニカルデザイナー大河原邦夫によるミリタリズム溢れるイラストと講談社系雑誌などで展開された、劇中には出てこないモビルスーツのバリエーション設定(MSV: モビルスーツバリエーションと後に呼ばれる)、そしてスタジオぬえメンバー主導による同人誌とその内容を商業展開した "GUNDAM CENTURY" (みのり書房刊)というガンダムをSF的に考察するムック本によってモビルスーツという存在は完全にアニメ作品ガンダムから離れて独立したムーブメントとなり、その後20年以上に渡って商売として成立する怪物商品に発展した。なお、あまりにアニメから離れて独自の流れを生んでしまったモビルスーツに対して、ガンダムの総監督である富野由悠季は逆に困惑し収拾をつけるのに難儀した結果、"あれはアニメのガンダムとは別のもの" として諦めるに至ったという。
なお、モビルスーツのような人型機械を "ロボット" と呼ぶ人が多いが、有人操縦による機械は正しくはロボットとは言わない。しかしアニメ・マンガにおいてはこれをロボットと呼ぶのが慣例である。
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