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大乗仏教の経典の一つ。正式には摩訶般若波羅蜜多心経という。木魚を叩きながら読むのが一般的である。
大乗仏教の思想の一つ「空」を説いた、全600巻にもなる壮大な大般若経のダイジェスト版ともいえる経である。
般若心経は幾つかの翻訳があるが、日本で最も代表的なものは、日本では三蔵法師で有名な玄奘三蔵の訳を元にした流布本である「仏説摩訶般若波羅蜜多心経」であり、全266字からなる。
儀式儀礼で読まれる代表的な流布文は、次の通りである。漢字は現代日本のものを用い、適度に句点を附した。
観自在菩薩。行深般若波羅蜜多時。
色不異空。空不異色。色即是空。空即是色。
受想行識。亦復如是。舎利子。是諸法空相。
不生不滅。不垢不浄。不増不減。是故空中。
無色無受想行識。無眼耳鼻舌身意。
無色声香味触法。無眼界乃至無意識界。
無無明。亦無無明尽。乃至無老死。
亦無老死尽。無苦集滅道。無智亦無得。
以無所得故。菩提薩埵。依般若波羅蜜多故。
心無罣礙。無罣礙故。無有恐怖。
遠離一切顛倒夢想。究竟涅槃。三世諸仏。
依般若波羅蜜多故。得阿耨多羅三藐三菩提。
故知般若波羅蜜多。是大神呪。是大明呪。
是無上呪。是無等等呪。能除一切苦。
真実不虚。故説般若波羅蜜多呪。即説呪曰。
羯諦羯諦。波羅羯諦。波羅僧羯諦。
菩提薩婆訶。般若心経。
解釈は様々ある。以下は、一つの解釈による意訳である。
観自在菩薩が般若波羅蜜多を深く行じていたとき、肉体の煩悩はどれもみな空であることに気がついて、そして苦しみや災難の全てが克服できたんだ。
舎利子よ、肉体とは空であり、空は肉体そのものだ。肉体は空で、空とは肉体なんだ。思ったり、考えたり、行じたり、意識したりすることもまた、空なんだ。
舎利子よ、この世の全ては、空からできている。
生まれれば必ず死に、垢が付いて汚れ、何かが増えれば何かが減る。ゆえに、空の中では、肉体も、感情も、感覚も、感触も、目に見える世界も、心の世界も、迷いも、迷いが尽きることも、無いのだ。
あるいは、老衰で死ぬことなく、また老衰で死に尽きることも無い。
四苦八苦もなければ、智も無く得ることもない。そもそも得るという実体がないのだ。
菩提薩埵(菩薩)は、般若波羅蜜多によって、心にわだかまりがなく、ゆえにわだかまりが無く、恐れるものは何もない。すべての誤った考えから離れて、この上ない安らかなる境地にある。
三世の諸仏は、般若波羅蜜多によって成仏した。
ゆえに般若波羅蜜多とは、偉大なる神の真言であり、偉大な智慧のある真言なのだ。この上ない真言であり、比べるものもない真言なのだ。
それらは、一切の苦しみを取り除いてくれる。真実に偽りはない。
そこで、般若波羅蜜多の真言(マントラ)を唱えよ。真言とは、こうだ。「渡る者よ、渡る者よ、彼岸に渡る者よ、無事に彼岸に渡る者よ、悟りよ、幸いあれ。」
これで大丈夫だ。
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