読み:とう
品詞:慣用単漢字

時に、長い訓読みがあるとして話題に上がる字。

目次

漢字

u55d2

  • 部首: 口 + 10画
  • 総画: 13画
  • 解字: ⿰口⿱艹合

意義

  1. 我を忘れる様
  2. 舐める

大漢和辞典

大漢和辞典には、次のように書かれている。

【嗒】 4069 タ¯フ ト¯フ 〔集韻〕託合切 ㄊㄚ` t̒a4 ※韻の説明は「合、入聲」

㊀ 我を忘れるさま。〔廣韻〕嗒、忘󠄁懷皃。〔集韻〕嗒、解體皃。〔莊子、齊物論〕嗒焉似其耦。〔注〕嗒焉、解體。〔疏〕馮几坐忘󠄁、凝神遐想、仰天而歎、妙悟自然、離形去智、嗒焉堕體、身心倶遺。

㊁ なめる。〔玉篇〕嗒、舐也。

㊂ 或は荅(9-30937)に作る。〔集韻〕嗒、或省。

使われている字形は、草冠が四画である。

dkw-04069

玉篇を除いては、概ね我を忘れる様であると説明している。

タ¯フ・ト¯フは、旧仮名遣いで、発音「とう」を意味しているものと思われる。

康熙字典

康熙字典網上版には、次のように書かれている。

嗒 〔廣韻〕吐盍切〔集韻〕〔韻會〕託合切𠀤音󠄁榻〔廣韻〕嗒然忘󠄁懷也〔集韻〕解體貌〔莊子齊物論〕嗒然似喪其耦 又〔廣韻〕都合切〔集韻〕徳合切𠀤音󠄁荅〔玉篇〕舐也〔廣韻〕舐嗒 〔集韻〕或省作荅

内容は、大漢和辞典に引用されているほぼそのままである。

使われている字形は、草冠が三画である。

u55d2

これがUnicodeの例示字体になっている。

補足

Unicodeの資料UNICODE HAN DATABASEには、次のようにある。

U+55D2 kJapaneseKun NAMERU

U+55D2 kJapaneseOn TOU

音読みについては大漢和から引用されたものと思われるが、訓読みの初出が定かではない。実際に、日本語文章内に於いて使われている例が確認できていない。

別の資料として、ATOK2010の文字パレットでは、読みは、音読みは「トウ」、訓読みは「な・める」となっている。ATOKの送り仮名に従えば、「嗒める」という表現になるが、これについても使用例が確認できていない。

なめると言う意味があることは疑いようがないが、これが訓読みとして認知されているかどうかは別の問題である。

発音

熟語

  • を嗒くらい見つめ (なんだかとっても!いいかんじ)

補足

JIS X 0208にはなく、JIS X 0212(補助漢字)とJIS X 0213に収録されている字である。

なんだかとっても!いいかんじ」では、「われをわすれる」という訓読みを与えている。この典拠は「漢字部屋2」に訓として記されていたことによる。漢字部屋は、参考文献として大漢和辞典、漢字源、新大字典、新漢語林、中華字海を挙げているが、訓を拾った元を明らかにしていない。

大漢和辞典にあった「我を忘れるさま」を独自の解釈で「われをわすれる」という訓読みだとし記載したという可能性はある。

用語の所属
漢字

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