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小型携帯端末(携帯電話やPDAなど)向けの、無線通信を用いたインターネット利用のための国際標準通信プロトコル。
コンセプト的には、iモードがパソコン用のWWW環境をそのまま携帯電話で実現しようとしているのに対し、WAPは携帯電話に特化した文字情報サービスとして捉えている。
将来の回線の広帯域化と端末の高性能化をも考慮すると、iモードが日本独自の規格であるという問題を踏まえても両者の優位は非常に複雑である。しかも実際の利用者にとっては技術の完全さは全く問題ではなく、手軽さと多彩なサービスが重要なのであり、その点でパソコンをも駆逐する勢いのiモードにWAPが対抗するのは容易では無い。
無線により通信を行なう小型携帯端末でインターネットを利用するため、限られたユーザーインターフェイス(多くは数個のボタン程度)、狭い画面、低速で不安定な通信回線、という環境に特化したプロトコル体系となっている。
特徴として「WAPゲートウェイサーバー」というHTTPのプロクシーサーバーに似た機能サービスサーバーを通常のインターネット上のサーバーと携帯端末間に設置し、全てのアクセスをWAPゲートウェイで中継することで、端末側での表示処理の簡略化、転送トラフィックの軽減、複数画面のキャッシュなどを実現している。
WAPのコンテンツは、WAEで規定される表示記述言語WMLで記述される。これは一般的なHTMLと異なり、ボタンによる選択など限定されたユーザーインターフェイスでの利用が考慮されている。
端末で表示する各画面を「カード」、複数のカードを収めた一転送単位を「デッキ」と呼ぶが、それぞれでの画面キャッシュに対応するため、複数カードを1デッキ中に含めることが可能なようにされている。
さらに、一つのWML文書中には複数のデッキを収めることができる。
WAPゲートウェイではWMLの記述から実際の表示画面を作り出し、表示文書にバイナリのフォーマット情報コードを埋め込んだデータに変換することで転送データ量の低減とレイアウト処理の高速化を実現する。
この際には、XMLのバイナリ版であるWBXMLが使われる。
WAP端末側は、単純な表示のみに特化することが出来、安価で低速な端末でも実用的な表示処理が可能になっている。そしてWMLの解析エンジンがWAPゲートウェイ側にあるため、端末側でプログラムを更新しなくても常に最新の機能を共通して利用することが可能になっている。また複数の技術があっても端末側から意識することなくシームレスな利用が可能となる。
WAPの基本技術は米Phone.comの開発した無線端末向け通信技術であるHDML(WWW表示記述言語)およびHDTP(転送プロトコル)を原型にしており、これを元に国際規格として体系的に規格化したものである。
初期のWAPでは機能不足と対応製品の少なさから、実際にはHDMLとHDTPをWMLとWSPの代わりに実装している場合が多かった。この場合でもWAPゲートウェイが自動的に変換を行なうため、端末側ではどちらが利用されているかを意識する必要はない。
なお、同社はWAPゲートウェイサーバーの製品(UP.Linkサーバー)の開発などを行なっている。
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