ATX12V電源

最初のもの。特にCPU電源供給コネクターであるATX12Vコネクターの追加に注力された。

• ATX12V 1.0 (2000(平成12)年2月)
  • MBUコネクターにおける12Vの供給の強化
  • CPU電源供給コネクターである4ピンのATX12Vコネクターを追加
• ATX12V 1.1 (2000(平成12)年8月)
  • MBUコネクターにおける3.3Vの供給の強化
• ATX12V 1.2 (2002(平成14)年1月)
  • MBUコネクターにおいて、−5V供給がオプションとなった
• ATX12V 1.3
  • MBUコネクターにおいて、12Vの強化、−5V供給の削除
  • シリアルATA電源コネクターをオプション仕様として追加

PCI Expressスロットへの電源供給が必要となり、マザーボード向けの電源供給端子であるMBUコネクターが20ピンから24ピンに拡張された。また大電流を消費する装置の殆どが12Vを要求する時代の移り変わりに対応している。

• ATX12V v2.0 (2003(平成15)年2月)
  • MBUコネクターが24ピンになった
  • MBUコネクターにおける12V供給を強化する一方、5Vおよび3.3Vの電力が大幅に削減された(使われていないため)
  • ATX12V 1.x仕様で定義されていた、AUXコネクター(6ピン)の仕様が削除された (MBUコネクターが24ピンになったことで目的を充足するため)
  • 電源装置には「シリアルATA電源ケーブル」の添付を要求
• ATX12V v2.1 (2005(平成17)年3月)
  • マイナーチェンジ版。各電源レールでの電力が僅かずつ強化された
• ATX12V 2v.2 (2005(平成17)年3月)
  • MBUコネクターおよびATX12Vコネクターが高電流に対応。以降の2.xはほぼマイナーチェンジであり、ATX12V 2.xはここで概ねの完成をみた
• ATX12V v2.3 (2007(平成19)年3月)
• ATX12V v2.4 (2013(平成25)年4月)
  • CPUに電力を供給するATX12Vコネクターの最小電流を0.05Aに引き下げた(v2.3までは0.5A)。これは第4世代CoreプロセッサーHaswellの省電力機能への対応
• ATX12V v2.5 (2017(平成29)年9月)
  • 従来のACPI S3電源状態の代替となる、代替スリープモード(ASM)のサポートが導入された。Windows 10では「モダン スタンバイ」として実装されている

PCI Expressスロットへの更なる電源供給のため、新たな電源供給端子である12VHPWR補助電源コネクターを追加する拡張。

GPGPUが普及し、更にGPUの高性能化で大電流を消費するようになると、従来のPCI Expressスロット仕様の範囲内での電源供給では足りなくなり、別途専用の電源端子がカードに追加されるなどの現象が生じ始めた。それを解決するための電源規格としての拡張がATX12V 3.xである。

• ATX12V v3.0 (2022(令和4)年3月)
  • 12VHPWR補助電源コネクターを追加

+3.3V、+5V、+5VSB、−5V、+12V、−12Vの電源に加え、電源ボタンの状態を通知する信号線が存在する。

なお、+5VSBとはSB(スタンバイ)、すなわちシャットダウン後にマザーボードに対して供給する待機電力である。

EPSがATXの拡張であるため、共用電源装置といものも多く市販されている。

MBUコネクター(メイン電源供給コネクター)は24ピンだが端の4ピンが分離できるものと、24ピン→20ピン変換ケーブル添付のもの、がある。また、この変換ケーブルは別に市販もされている。

CPU補助電源のための12V電源供給コネクターは、EPSが8ピン、ATXが4ピンである。そこで、8ピンだが、半分の4ピンに分離できるようになっている。

電源供給用のコネクターおよびケーブルが、MBUコネクター(20/24ピン)とATX12Vコネクター(4ピン)の二つあるので注意が必要である。

CPUは12Vを電源に使うが、その供給は4ピンコネクターであり、MBUコネクターの12VはCPUの電源には使われていない。

組み立てる際、20/24ピンのMBUコネクターを挿し忘れる人は殆どいないが、4ピンのATX12Vコネクターを挿し忘れる人は少なくない。後者を挿し忘れると、一見マザーボードは動作しているように見えても、CPUが動作しないという現象が発生する。