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ソニーが開発した音声圧縮技術の一つで、ATRACファミリーの最初のもの。
ATRACのバージョンは、元々のATRAC(便宜上ATRAC1と俗称される)のバージョンであり、関連技術であるATRAC2やATRAC3とは無関係である。
バージョン | IC型番(純正品) | 仕様 |
---|---|---|
1 | ||
2 | ||
3 | CXD2536 | I/Oポート20ビット、24ビット化 |
3.5 | ||
4 | CXD2650 | |
4.5 | CXD2654 | |
Type-R | CXD2656 | |
Type-R (MD LP) | CXD2662R | ATRAC3対応 |
Type-S | CXD2664R |
しかし、混乱を招いたことから、現在ソニーは「ATRAC2」「ATRAC3」といった呼称を用いず、全てを「ATRAC」で統一して呼んでいる。
周波数帯域を低域・中域・高域の3つのブロックに分割し、それぞれ別々に圧縮処理を行なう。これは、同じ音量であっても周波数により人間が感じる音のレベルが違うという「等ラウドネス特性」に基づいた手法である。
また、ある大きな音に近い周波数の小さな音は聴き取りにくいという「マスキング特性」に基づき、人間には聞こえにくいとされる音域をカット(マスキング)することで情報量を減らしている。
このような人間の聴覚心理学に基づいた方法で、人間の耳ではCDとの音質の差を殆ど感じることなく、CDフォーマット(44.1kHz/16ビット)の音声の情報量を約1/5に圧縮することができるとアナウンスされている。
バージョン1の頃は、人間の耳に聞こえないとされる高域ブロックを粗末に扱っていたため、高級なオーディオ機器では高音の膨らみの不足などが起こり、マニアに酷く叩かれた。
しかし改良を重ね、また歪率やダイナミックレンジの改善などが進み、現在では初期のものとは比較にならない程に音質が向上している。
しかし、ATRACは普及しなかった。
実質的にMD以外での用途が殆ど広がらなかったからである。
インターネットで音楽が販売される時代になると、Apple(当時はApple Computer)はmp3で音楽の販売を始めた。一方のソニーは、著作権保護の名目で、自由な再生を妨害する技術(著作権保護技術MagicGate)を盛り込んだATRACで応戦するが、当然のように大敗北を決したのである。
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