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非常に強力な磁場を持った中性子星。カタカナで「マグネター」と呼ばれることが多いが、東京大学理学部が超強磁場中性子星という和名を用いている。
超強磁場中性子星は、内部磁場のねじれにより表面(地殻)に大きな応力が掛かっているとされる。ある程度近くにストレスが溜まると、近くは球体に近い状態へと戻ろうとする。この時に発生する振動が星震である。
地球の地震のメカニズムに似るが、実際に変動する地殻の大きさはマイクロメートル以下の微小な大きさに過ぎず、時間も100万分の1秒未満とされる。
この星震が発生するとエネルギーと物質が大規模に放出されるが、これが軟γ線リピーターの正体ではないかと考えられている。この時、動径側に物質が放出されれば、その分自転の角運動量が失われるため、徐々に自転速度は減速する。自転の減速とともに磁場も弱まるため、星震は起こらなくなる。その後も中性子星はX線を放射し続けるが、これが特異X線パルサーではないかと考えられている。
超強磁場中性子星でいられる時間は短く、軟γ線リピーターの段階で約1万年、更に特異X線パルサーの段階で約1万年とされ、その後は活動を停止する。
超強磁場中性子星は、その強力な磁力で変形していることが、東大と理研の研究によって明らかとなった。
「4U 0142+61」という超強磁場中性子星をJAXAのX線天文衛星「すざく」で観測、回転に伴い生じるパルスが、低エネルギーのX線(軟X線)では8.69秒(10cBeat)の一定周期なのに対して、高エネルギーX線(硬X線)では約15時間のうちで0.7秒程度進み遅れすることを発見した。
研究チームは、この天体が球形から0.01%程度「レモン型」に変形し、天体の対称軸が首振り(自由歳差運動)をするためと結論付けた。またこの変形原因は天体の磁場の可能性が高く、この変形量を説明するには1012テスラ(1兆テスラ)が必要と見込まれている。
中性子星の内部磁場が観測から推定されたのは、この「4U 0142+61」が世界初とされる。
さいだん座の超星団「Westerlund 1」に超強磁場中性子星「CXOU J164710.2-455216」が存在するが、この中性子星の位置にはパートナーとなる星がない。
研究により、猛スピードで移動する暴走星「Westerlund 1-5」が発見され、このような暴走星は、超強磁場中性子星を作った超新星爆発ではじき飛ばされた可能性が高いとされた。かつ、この天体は、成分的な特徴などから連星の片割れだった可能性が高いとされた。
超強磁場中性子星と暴走星の形成は、次のようなシナリオが成り立つとされている。
二つの星の間での物質交換が暴走星「Westerlund 1-5」を独特の科学的性質としただけでなく、伴星がブラックホールにならずに中性子星で済む程度の質量が主星に移ったことも示している。
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