餡子を使った代表的な和菓子の一つ。
古くは蒸して作る蒸し羊羹であったが、室町時代の後期から寒天を加えて練る練り羊羹が登場した。
現在では練り羊羹が主に食べられている。
夏目漱石の「草枕」の中にも
余はすべての菓子のうちでもっとも羊羹が好(すき)だ。別段食いたくはないが、あの肌合が滑(なめ)らかに、緻密に、しかも半透明に光線を受ける具合は、どう見ても一個の美術品だ。ことに青味を帯びた煉上(ねりあ)げ方は、玉(ぎょく)と蝋石(ろうせき)の雑種のようで、はなはだ見て心持ちがいい。のみならず青磁の皿に盛られた青い煉羊羹は、青磁のなかから今生れたようにつやつやして、思わず手を出して撫でて見たくなる。西洋の菓子で、これほど快感を与えるものは一つもない。
などというべたぼめの記述が見られるほど、昔から日本人に愛されてきた菓子である。
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