川崎病

読み:かわさきびょう
外語:kawasaki disease 英語
品詞:国

全身の血管炎による疾病で、4歳以下の乳幼児に多く発症する。正式名称は「小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」(MCLS)。

目次

主に乳幼児が好発する原因不明の急性熱性疾患。1967(昭和42)年に川崎富作博士が「小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」として発表した疾患。

原因については今なお分かっていないが、何らかの感染症であることが疑われており、ウイルス細菌の感染を切っ掛けとして免疫反応により全身の血管で炎症が生じると考えられている。

日本では1970(昭和45)年以来長く調査が続けられているが、次のような傾向が確認されている。

  • 患者数(罹患率)は増加傾向にある
  • 3度の流行があった (1979(昭和54)年、1982(昭和57)年、1986(昭和61)年)
  • 2020(令和2)年に罹患率が大きく低下した

武漢肺炎ウイルス感染症(WHO名COVID-19)のパンデミック以後、その感染症対策が川崎病の発生率低下に何らかの寄与をしたものと見られる。

症状

大きく六つの症状が見られる。

  • 39℃〜40℃の熱が5日以上続く
  • 手足が大きく腫れ、手のひらと足の裏が赤くなる
  • 全身に発疹が出る
  • 両目が充血する
  • 唇との乾燥・充血し、舌には「いちご舌」とも呼ばれる赤いブツブツが生じる
  • 首のリンパ節が腫れる

これら6症状のうち5個が確認されると川崎病と診断されるが、川崎病はこれら以外にも多彩な症状を伴う。ただ初期症状は発熱のみであることも多く、初期には診断しにくい病気でもある。

心疾患の併発

発熱は風邪よりも長く続くが、熱が下がれば症状は急速に消え、腫れていた手足も皮が剥けてくる。

問題は、発熱後2週間程度経った頃より、心臓に栄養を供給している血管、冠動脈が腫れる症状が出ることである。この腫れが悪化すると冠動脈瘤というコブができ、血流を悪化させる。最悪で心臓が突然止まり、突然死してしまうことがある。

治療

川崎病の治療は、いかにして冠動脈瘤の発症を予防するかに掛かっている。

入院治療が必要であり、一般的にはアスピリン投与による治療、炎症が強い場合は免疫グロブリン製剤も有効とされている。

冠動脈瘤の合併症を避けられればそれほど怖い病気ではないが、定期的な心臓エコー検査などは必要となる。またもし冠動脈瘤ができてしまった場合は、長期にわたる治療が必要となることもある。

名称について

川崎病の川崎は地名ではない。

  • 川崎病は、発見した医師「川崎富作」博士にちなむ
  • 川崎市、および川崎の工業地帯を中心とした大気汚染による公害とは無関係
  • 川崎氏病と名前を変えようとしたが、ますます川崎市病と間違われそうなので実現しなかった
  • 川崎医科大学とも無関係である。まず川崎医科大学の本部は岡山県倉敷市で、川崎市ではない
用語の所属
KD
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