ア | イ | ウ | エ | オ |
カ | キ | ク | ケ | コ |
サ | シ | ス | セ | ソ |
タ | チ | ツ | テ | ト |
ナ | ニ | ヌ | ネ | ノ |
ハ | ヒ | フ | ヘ | ホ |
マ | ミ | ム | メ | モ |
ヤ | ユ | ヨ | ||
ラ | リ | ル | レ | ロ |
ワ | ヰ | ヴ | ヱ | ヲ |
ン |
A | B | C | D | E |
F | G | H | I | J |
K | L | M | N | O |
P | Q | R | S | T |
U | V | W | X | Y |
Z | 数字 | 記号 |
物質のうち、全てか、または何らかの条件に合致する一部を指す用語。様々な定義があるにはあるが、科学分野の用語かどうかは疑わしい。
化学物質という語は、おそらく化学では使われていない。非化学(非科学?)な物質など存在せず、仮にあったとしてもそれは化学で扱う対象外だと思われるからである。
従って、「本態性環境不耐症」のことを「化学物質過敏症」などと呼ぶ者がいるように、何らかの意図、主義、主張をもって使われる用語である。
意味は不明確で、用語使用者ごとに定義は様々で、すなわち「用語の使用者が気に入らない物質」が化学物質であるとも言える。
そして「化学物質=危険」というイメージを喧伝し、もって彼ら(または彼らを扇動する者)が「安全と主張するもの」を売って利益を得ようとすることが、化学物質という用語を使う主たる目的であるとも言える。
化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律では、次のように定義される。
(定義等)
第二条 この法律において「化学物質」とは、元素又は化合物に化学反応を起こさせることにより得られる化合物(放射性物質及び次に掲げる物を除く。)をいう。
一 毒物及び劇物取締法 (昭和二十五年法律第三百三号)第二条第三項 に規定する特定毒物
二 覚せい剤取締法 (昭和二十六年法律第二百五十二号)第二条第一項 に規定する覚せい剤及び同条第五項 に規定する覚せい剤原料
三 麻薬及び向精神薬取締法 (昭和二十八年法律第十四号)第二条第一号 に規定する麻薬
上の定義は簡単には、元素、化合物に化学反応を起こさせることにより得られる化合物であり、そのうち、放射性物質、特定毒物、覚せい剤、覚せい剤原料、麻薬を除いたものとされている。
特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律では、次のように定義される。
(定義等)
第二条 この法律において「化学物質」とは、元素及び化合物(それぞれ放射性物質を除く。)をいう。
この法律では、特定毒物、覚せい剤、覚せい剤原料、麻薬も化学物質となる。
法律(特に化管法)に従うと、放射性物質以外ならあらゆるものが「化学物質」であるといえる。
ただし一般にこの用語を悪用しようとする者は、別の意味で用いている。以下は、その悪用について説明する。
この用語を使う人々は、「人工的に作り出され、生物や環境に悪影響を及ぼすもの」などを「化学物質」と呼びたいようである。
そして彼らが定義するこの「化学物質」は、全て危険であるとする。
「化学物質」が「危険」とする場合、同時に「健康食品」や「自然食品」という用語が使われることが多い。ただし「健康食品」や「自然食品」には法律での定義はない。
一般に健康食品とは、人体に有益な成分が含まれた食品をいう。この条件を満たすならば、同時に人体に有害な成分が含まれていても、健康食品だと言い張ることは不可能ではない。
一般に自然食品とは、人工的な添加物が入っていない食品をいう。つまり「化学物質」なるものが入っていない食品が自然食品である。しかし同時に、有害な自然のもの(毒きのこ、フグ毒、トリカブトなど)が入っていても、自然食品だと言い張ることは不可能ではない。
「精製塩よりも天然塩の方が美味いと感じるのは体が正直に反応しているため」などの論調を展開するのが、悪意を持って「化学物質」という語を使いたがる人の特徴である。
精製塩は塩化ナトリウムの純度が99.5%以上で、不純物を殆ど含まないため旨みはないが安全性は高い。一方で、天然塩は多くの不純物を含むため、その分旨みはあるが危険性も高いのが実際である。
人体は、酒、煙草、麻薬、トルエン(シンナー)などなど、体に有害なものであっても、美味い、または快楽を感じる。対して、ビタミンCなどは身体に必須だが、酸っぱすぎてそのままでは舐められず、必須アミノ酸も苦味を感じるものが多くそのままでは摂取しにくい。
水銀やカドミウムなどの重金属、あるいは内分泌撹乱物質などは味がないため、健康を害する程度の量が混入していたとしても、味では分からない。
快・不快などは、身体への必須性や、健康への善し悪しとは、直接結びついていない。
食品に含まれる必須アミノ酸は必要量摂らないと死んでしまうが、かといって過剰に摂れば良いと言うものでもない。摂りすぎても死んでしまう。
三大栄養素の蛋白質とは実際には必須アミノ酸のことをいうが、必須アミノ酸でも調味料として用いると、同じものでありながら途端に人に仇なす食品添加物いわゆる「化学調味料」と呼ばれ、あたかも天然には存在しない危険な物質であるかのように扱われて、その傍らで「無化調」の食品の宣伝が展開される。
そんな日本では「アミノ酸飲料」が流行している。スポーツドリンクでもアミノ酸、特に分岐鎖アミノ酸(BCAA)を「燃焼系」と称して配合し、健康をアピールしている。無化調とアミノ酸を同時に流行させるのが日本の特徴である。
なお、アミノ酸なら無条件に健康に良いわけでもなく、イボテン酸はアミノ酸だが毒キノコの毒であり毒性を持っている。
要するに、食品の原材料欄に「ビタミンC」と書いてあれば見栄えが良いが、「酸化防止剤(アスコルビン酸)」と書くと、全く同じ物質でありながら途端に人に仇なす食品添加物つまり「化学物質」の扱いになってしまうということであろう。
無知を騙すための用語と化している。
16世紀、ルネサンス初期のスイスの医師パラケルススは、次のように述べたとされている。
「あらゆるものは毒であって、毒性をもたないようなものは何ひとつ存在しない。ある毒物が毒でなくなるのは、適度な用量のみである。」
病院で貰える薬も同じ。毒と薬は同じものであり、違いは量のみ。全ては医師薬剤師のさじ加減である。
コメントなどを投稿するフォームは、日本語対応時のみ表示されます