メガソーラー

読み:メガソーラー
品詞:名詞

大規模な太陽光発電の施設。

目次

ほぼ無尽蔵である太陽光エネルギーを用いた発電である。

射し込む太陽光の中には様々な波長の光があるが、特に多い可視光線赤外線は使わず、僅かしかない紫外線のみを使う。このため太陽光発電は効率が悪く、現在の技術では面積あたりに得られる電力量は少ない。しかも太陽光を太陽電池に直射する必要があるため、地下に置いたり積み重ねて使用することはできず、広い土地が必要となる。

面積20ha(約6万坪)を使って発電出力は10MW(1万kW)程度が相場で、1万kWは一般家庭3,000軒分相当である。

日本で広い土地を確保することは難しいが、埋立地など、農地にも住宅地にもならないような場所に作られて実験されている。

太陽光発電所によって手法は異なると思われるが、例えば公表されている東京電力・浮島太陽光発電所の場合は、次のようなっている。

  • 太陽電池モジュールで直流250V〜600Vを発電
  • PCS(パワーコンディショナー)で交流210Vに変換
  • 中間変圧器で交流210Vを交流6,600Vに昇圧
  • 連系変圧器で交流6,600Vを交流66,000Vに昇圧
  • 交流66,000Vを送電

利点と欠点

  • 利点
    • 太陽光があれば発電できる
    • 発電時にCO2が出ない

      製造と運搬時には出る

  • 欠点
    • 太陽光がないと発電できない
      • 悪天候時は発電できない
      • 夜間も発電できない
    • 単位面積あたりの発電量が少ない

      太陽電池の性能。改良して効率が今の2倍になったとしてもたかが知れている

    • 冬の電力量は、良くても夏の1/3
    • パネルは劣化するため、年々発電能力は低下する

面積あたり発電量

日本は狭いので、面積あたりの発電量は、重要な指標である。

例えば、福島第一原子力発電所の敷地面積は約350万m²=350ha、発電電力量は6号機までで約469.6万kWであり、面積当たりの発電量は約1.34万kW/haである。

メガソーラーは前述のように、20haで約1万kW、面積当たりの発電量は約0.05万kW/haである。

二つを単純比較すれば、太陽光発電で原電と同じ発電量を得るためには約27倍の敷地が必要、という計算になる。

固定価格買い取り制度

再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度とは、再生可能エネルギーの売り渡し価格と期間を法律で定め、長期に渡り固定価格とする制度である。

価格は毎年見直されるが、一度売電がスタートした契約の買取価格と期間は契約時点で固定される。このため、固定価格買い取り制度と呼ばれている。

この価格がまた非常に高額で、2009(平成21)年11月から開始された太陽光発電の余剰電力買取制度は、住宅用(10kW未満)が48円/kWhだった。2011(平成23)年度は同42円/kWh、2013(平成25)年度は同37.8円/kWhと徐々に値は下げている。

しかし電力会社の販売価格(概ね20円少々/kWh)を大幅に上回る価格という逆鞘での長期買い取り保証は、結果として電力価格の高騰を招くことになり、批判も高まってきている。

受給バランス不適合

固定価格買い取り制度で大きな収益が得られる(つまり民間人からの合法搾取)ことから、浅ましい民間企業が続々とメガソーラーの建設を始め、建設ラッシュとなった。あくまでも自社で電力会社を興すわけではなく、制度を利用して既存の一般電気事業者(電力10社)に高値で買い取らせる前提である。

しかし、太陽光発電は天候次第で出力が変わる。それでも電力事業は、常に安定した電力供給をする必要があり、需給の均衡が崩れると停電が発生する。このため不足分は電力会社が火力発電の出力を増減させて需給バランスを取る必要がある。

この方法には容量の限度があることが自明であり、結果、各電力会社は上限を設定することとなった。まず北海道電力は、出力2000kW以上で40万kW程度が限度とした。

このため経済産業省は約200億円を投じ、北海道電力の変電所に世界最大級となる容量6万kW/h程度の大規模蓄電池を設置することで受け入れ容量の拡大を狙う方針だが、受け入れ制限は他の電力会社にも波及しており、受け入れ可能なメガソーラーの容量は限界を迎えつつある。

建設ラッシュ

全国各所に建設ラッシュである。その数は、今や膨大なものとなった。

メガソーラーは、建設主体により、次のように分類できる。

  • 電力会社
  • 自治体
    • 売電用
    • 自家発電用
  • 民間企業
    • 売電用
    • 自家発電用

また、自治体と民間企業の共同事業などもある。

自家発電用は、基本的には工場等で使用する電力の確保用であるが、余剰電力を売電するものもある。

電力会社

電力会社が建設した、または計画中の発電所は次の通りである。

  • 北海道電力
    • 伊達ソーラー発電所(北海道伊達市) / 1,000kW / 2011(平成23)年6月2日
  • 東北電力
  • 東京電力
  • 北陸電力
    • 志賀太陽光発電所(石川県羽咋郡志賀町若葉台) / 1,000kW / 2011(平成23)年3月12日
    • 富山太陽光発電所(富山県富山市婦中町上轡田 他) / 1,000kW / 2011(平成23)年4月20日
    • 三国太陽光発電所(福井県坂井市三国町新保) / 1,000kW / 2012(平成24)年9月21日
    • 珠洲太陽光発電所(石川県珠洲市宝立町鵜島) / 1,000kW / 2012(平成24)年10月31日
  • 中部電力
    • メガソーラーいいだ(長野県飯田市川路城山) / 1,000kW / 2011(平成23)年1月28日
    • メガソーラーたけとよ(愛知県知多郡武豊町字竜宮1-1) / 7,500kW / 2011(平成23)年10月31日
    • メガソーラーしみず(静岡市清水区三保) / 8,000kW / 2014(平成26)年度〜予定
  • 関西電力
    • 堺太陽光発電所(大阪府堺市西区築港新町4丁5、6) / 10,000kW / 2014(平成26)年度〜予定
    • グリーンフロント堺(大阪府堺市) / 18,000kW / 計画中
  • 中国電力
    • 福山太陽光発電所(広島県福山市箕沖町112-2) / 3,000kW / 2011(平成23)年12月〜
    • 宇部太陽光発電所(山口県宇部市西沖の山) / 3,000kW / 2014(平成26)年12月〜予定
  • 四国電力
    • 松山太陽光発電所(愛媛県松山市) / 2,042kW / 1996(平成8)年3月〜
  • 九州電力
    • メガソーラー大牟田発電所(福岡県大牟田市) / 3,000kW / 2010(平成22)年11月〜
    • 大村メガソーラー発電所(長崎県大村市寿古町) / 13,500kW / 2013(平成25)年5月〜
    • 佐世保メガソーラー発電所(長崎県大村市) / 10,000kW / 2013(平成25)年度末〜予定
  • 沖縄電力
    • 安部メガソーラー実証研究設備(沖縄県名護市字安部北上原155-33) / 1,000kW / 2012(平成24)年3月29日
    • 宮古島メガソーラー実証研究設備(沖縄県宮古島市) / 4,000kW / 2010(平成22)年10月15日
用語の所属
発電
関連する用語
太陽光

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