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H-ⅡAの試験用に搭載された実験衛星で、H-ⅡA・F2(H-ⅡA2024)によって2002(平成14)年2月4日に打ち上げられた。大気中の極超音速再突入飛行技術の確立を目的とし、人工衛星高度から大気圏への再突入させ、飛行中の熱などに関する様々な情報収集が可能。ちなみに、大気中の飛行速度は秒速10kmを超え、空力加熱は10MW/m2にも達する。
大気圏への突入は将来宇宙輸送などにおいて重要な技術で、宇宙科学研究所(ISAS)が開発したものがDASHである。
DASHの駆動系はシンプルで、姿勢制御はモーメンタムホイール、軌道離脱には固体モーターを使い、あとはスピンを掛けるための小型のモーターしか積んでいない。軌道調整もされぬまま分離された衛星を姿勢制御と固体モーターだけで地球に戻そうというのだから大変な冒険である。ISASだからこそ出来たといえるが、DASHのコンセプトは多少のリスクを負ってでも簡素化、低価格化(実験衛星は僅か4億円)を実現し、新たな技術開発を目指したものなので、これはコンセプトに適った設計といえる。
しかしながら、DASHはロケットからの "切り離し可能信号" に応答せず、H-ⅡAロケットからの分離に失敗、翌5日に衛星の運用断念が決定され、実験は失敗してしまった。リスクを取ったことがたまたま失敗に繋がったものの、技術開発とはこういった失敗を積み重ねて達成される。…のだが、結果として失敗の原因はDASH側の配線ミスだった。
ちなみに、なぜロケットから簡単に分離可能な設計にしなかったかというと、このDASHはピギーバック衛星(≒おまけ)なので、勝手に分離して主目的の衛星に衝突などの影響があると問題だからである。極論すればロケットや主目的の衛星にとっては邪魔者で、打ち上げの危険性が増すだけでしかない。にも関わらずDASHが積まれたのは、あえてリスクを侵しても、このような打ち上げ技術の開発が今後の糧になると判断されたからである。従って、ピギーバック衛星というものは、ロケットの加速や周囲の条件などを判断し主目的の衛星に影響がない、という状況下でのみ切り離しが許可される。言いかえれば、信号受け取るまでは勝手に切り離せないようになっていたのである。
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