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日本の戦艦で、大和級1番艦。
艦名は艦名選定法に基づき、現在の奈良県の全領域を占める旧国名が使用された。
しかし、「大和」とは単なる1国名を表わす言葉ではなく、日本全体をもあらわす言葉でもあり、日本海軍最強の戦艦のクラスのネームシップに使用するには最適な名前であった。
開戦以降、空母機動部隊が太平洋を所狭しと暴れる中、「大和」は内地に停泊し続けることとなる。1942(昭和17)年2月12日、連合艦隊の旗艦となった「大和」はミッドウェー海戦に初出陣するが、機動部隊のはるか後方に位置していたため、戦いには参加できなかった。
自身は全く戦っていないにも関わらず、機動部隊が壊滅したため敗走することとなる。このあたりを見ても、既に何が主力艦なのか、はっきりと示されていた。
1942(昭和17)年8月、ガタルカナルで火蓋が切られると共にトラック島に進出。しかし、停泊地が呉沖の柱島泊地からトラックに変わっただけであった。
ここから先の前線には出撃すること無く、楽国と言われたトラックでひたすら時を過ごしていたため、「大和ホテル」などと陰口を囁かれる有り様であった。
1943(昭和18)年2月11日、一年間保ってきた連合艦隊旗艦の座を、進出してきた「武蔵」に譲った。
自由な立場となった「大和」はトラックと呉、ブラウン環礁、横須賀との間を行き来する。この横須賀からの帰り、トラックに到着する直前に米潜水艦スケートの雷撃を受けて魚雷一本が命中した。しかし殆どの者が、攻撃を受けたことにすら気付かないほどの軽微なものであった。
1944(昭和19)年2月、その修理と、強大化しつつあった航空機からの攻撃より身を守ることを目的に、対空装備の充実のため呉海軍工廠に入渠。
1944(昭和19)年4月、修理・改装を終えるとマニラを経て、来たる作戦のために部隊が集結しつつあるリンガ泊地へと移った。
1944(昭和19)年6月、マリアナ沖海戦で初めて主砲砲門を開き、27発(3斉射)を射撃したが、それは敵航空機に対してであり、加えて殆ど効果は無かった。
続く1944(昭和19)年10月の比島沖海戦で、サマール島沖で敵艦船に初めて放火を浴びせるが、それは戦艦でも正規空母でもなく、護衛空母に対してであった。そして、その遅延信管では爆発しないまま艦を突き抜けてしまい大きなダメージを与えることは出来なかった。更に護衛駆逐艦から放たれた魚雷の回避運動を行なっている間に敵艦隊に大きく引き離されてしまい、ほとんど戦果を挙げられなかった。
また、この戦いで姉妹艦「武蔵」が沈没してしまっている。
その後は内地にいたが、沖縄で死闘が繰り広げられている最中、「大和」を無意味に浮かべているのは勿体ないという意見や、日本海軍のシンボルたる「大和」を終戦で連合軍に引き渡したくないという感情論などから、大和特攻作戦(沖縄特攻作戦)が立案される。
この際、「大和」には片道分の燃料しか積まず「片道特攻」などと言われたが、実際には各石油タンクのへそくりをかき集め、満載して出撃している。
出撃の翌日である1945(昭和20)年4月7日、雲霞のごとく襲いかかる米軍機によって爆弾は7発以上の直撃弾、多数の至近弾を受けた。そして、12本もの魚雷攻撃を受けた。
前年に同じく航空攻撃によって撃沈されている姉妹艦の「武蔵」は24本を受けて漸く沈没している。
そうすると、あたかも「大和」の方が防御力あるいは乗組員の質が悪かったかのように聞こえるが、そうではない。アメリカ軍の方が「武蔵」において経験を積んでいたのである。
アメリカは、大量の爆弾・魚雷を命中させても「武蔵」が中々沈まなかったので、「大和」においては片弦に魚雷を集中させることにした。これが功を奏し、「大和」は12発中11発を右舷に受け、傾斜が増大し、転覆した。
1945(昭和20)年4月7日14:23(@265)、九州坊岬沖(東シナ海 長崎県福江市(現・五島市)男女群島南176km、北緯30度43分 東経128度04分、水深345m)に沈没する(総員3,332名のうち生存269名、戦死3,063名)。
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