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面舵を取ると、船は転心を中心にして回転し、前進中ならば船首を右、船尾を左に振る。
イギリスも、元来は日本と同じく舵柄の向きに着目して呼んでいた。
その頃は国によってどちらに着目しているかが異なり、他国に入港する際はその国の水先案内人の指示に従うため、混乱を来たし、非常に危険であった。
このため、1928(昭和3)年、ロンドンで国際海運会議が開かれた際に、「回転方向」に統一され、1931(昭和6)年6月より実施された。
映画にもなったタイタニック号が就航したのは1912(大正元)年のことである。当時は統一以前であったため、現在とは逆となる、面舵が「port」、取舵が「starboard」だった。
映画「タイタニック」では氷山を避けるシーンで航海士が「Hard a starboard!!」と言っているところを字幕では「左転舵!!」、吹き替えでは「面舵いっぱい!!」と言っている。
これは、訳者がこの経緯を知らなかった可能性が濃厚である。その後、船は左舷に回頭しているのだから、この点で「おかしい」と気付くような人が翻訳をすべきだった、とする指摘もある。語学力にしか長けていない日本の翻訳家の一端が垣間見られる事件である。
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