面舵

読み:おもかじ
外語:starboard 英語
品詞:名詞

舵輪を右に回し、舵柄を左舷に取るという操舵号令

目次

動作

面舵を取ると、船は転心を中心にして回転し、前進中ならば船首を右、船尾を左に振る。

由来

面舵の名前の由来は、和船で用いられていたコンパスにある。コンパスには十二支(逆針)が描かれていた。逆針なので北になる子の方向に船首を向けると、左舷方向はとなる。そのため、左にを取ることを「卯面舵(うむかじ)」と呼んでいた。これが転化して「面舵」となった。

英語では面舵は「starboard」と言う。「starboard」とは右舷のことである。つまり、日本では「舵柄」を左舷に向けるから「面舵」なのに対し、英語では「回転方向」が右舷であるので「starboard」なのである。

日本語の面舵、取舵が日常用語と解離してしまったため、殆ど気付くことは無いが、実際にはあべこべとなっている。

その後

イギリスも、元来は日本と同じく舵柄の向きに着目して呼んでいた。

その頃は国によってどちらに着目しているかが異なり、他国に入港する際はその国の水先案内人の指示に従うため、混乱を来たし、非常に危険であった。

このため、1928(昭和3)年、ロンドンで国際海運会議が開かれた際に、「回転方向」に統一され、1931(昭和6)年6月より実施された。

映画

映画にもなったタイタニック号が就航したのは1912(大正元)年のことである。当時は統一以前であったため、現在とは逆となる、面舵が「port」、取舵が「starboard」だった。

映画「タイタニック」では氷山を避けるシーンで航海士が「Hard a starboard!!」と言っているところを字幕では「左転舵!!」、吹き替えでは「面舵いっぱい!!」と言っている。

これは、訳者がこの経緯を知らなかった可能性が濃厚である。その後、船は左舷に回頭しているのだから、この点で「おかしい」と気付くような人が翻訳をすべきだった、とする指摘もある。語学力にしか長けていない日本の翻訳家の一端が垣間見られる事件である。

海保・海自

商船は色々な国の港に出入りし、その国の水先案内人を取る関係から英語式にしている。一方、海上保安庁海上自衛隊では日本式である。

英語では左舷のことを「larboard」とも呼んでいたが、「starboard」と紛らわしいからと廃止された。しかし、日本語式だと「面舵」「取舵」は紛しいままである。このため、「ーりかーじ」「おーかーじ」と伸ばすところを変えることで解決している(それぞれ、にアクセントを置く)。

用語の所属

操舵号令
関連する用語
右舷
当て舵
操舵手
取舵
宜候

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