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他人の財物を窃取すること。盗み、かっぱらい、泥棒、すり、置き引き、万引き、食い逃げ。
他人の財物を、その当人の意に反して取ってしまうことを一般に窃盗という。その際に暴力等を介在させた場合は、強盗として扱われる。
但し、何を財物をみなすか、財物とは何なのか、は議論の対象であり、もって窃盗とは何かもまた議論の対象である。
伝統的にも、有体物を窃取することは窃盗としてみなされており、あまり疑う余地はない。金銀財宝は古くより窃盗の対象である。しかし現在は、無体物であっても財産として扱えるそうなものが様々想定できる時代となった。
ただ想定はできても、実際に無体物が財物になるかどうか多くの議論があり、そういった無体物が窃盗罪の対象になるかは不明瞭である。不明瞭ゆえ、刑法に定めがなくても逮捕される可能性はあり、そして司法の場(裁判所)で有罪として扱われる可能性もゼロではない。
無体物の代表として「電気」がある。日本では、他人の電気を勝手に使った場合は窃盗罪になる。なぜなら刑法第245条に「この章の罪については、電気は、財物とみなす。」と明示規定があり、この条文がゆえに盗電は財物の窃盗となる。
2018(平成30)年6月、Webサイトの訪問者からCPUパワーをもらって仮想通貨をマイニングしWeb広告の代替とできるCoinhiveを設置した人を、神奈川県警察が家宅捜索するという事件があった。
CPUパワーを窃盗した、という建前でこの家宅捜索は行なわれたようだが、現時点で「CPUパワー」という無体物は財物なのかどうか、定義はない。ゆえにネット上では大きな議論となった。
現実に、Webサイトでも従来より、広告の表示やユーザートラッキングのためにCPUパワーを消費(動画再生などでかなりのCPUパワーを浪費する広告もある)はこれまで(何となくではあるが)許されてきたのに、広告の代わりに純粋に対価を得る(マイニングする)ためにCPUを使うというだけで本当に窃盗と同一視していいのかはよく分からないし、そもそもCPUパワーを財物とみなしていいのかもよく分からない、つまり全てがよく分からないというのが実際のところである。にもかかわらず、早まったことをした神奈川県警察はさすが神奈川県警察と言わざるを得まい。
このように「窃盗罪とはいったいなんなのか」は、かなり奥の深い問題であり、様々な議論がある題材である。
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