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かつて、刑法第200条に「尊属殺人」というものがあり、これは一般の殺人罪より重罪とされていた。
これは、日本人の美徳として、親や祖先を大切にするという意味で、それなりの存在価値はあった。ところが、肝心のその親が娘を性の対象とする事件が発生した。娘には子供が三人もいた。遂に娘は耐えきれず父を殺害するに至った。
ここで司法は混乱に至る。本来、司法は立法に口出ししてはいけないのだが、この娘をどうしても有罪(つまり死刑)にはしたくなかった。結果「尊属殺の法定刑が死刑、無期懲役に限定されるのは違憲」という結論に至り、以降、この条文は無効として、立法が1995(平成7)年に刑法から削除するまで一度も尊属殺として裁いたことはなかった。
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