読み:セイ
読み:ザイ
読み:なめる
品詞:慣用単漢字

時に、長い訓読みがあるとして話題に上がる字。

目次

漢字

u568c

  • 部首: 口 + 14画
  • 総画: 17画
  • 解字: ⿰口齊
  • 異体字: 哜(簡体字)

意義

  1. 嘗める
  2. 鳥の悲しい声
  3. 憂い悲しむ
  4. 多くの声
  5. 笑う様

大漢和辞典

大漢和辞典には、次のように書かれている。

【嚌】 4474

🈩 セイ ザイ 〔集韻〕才詣切 ㄐㄧ` ※韻の説明は「霽、去聲」

🈔 セイ ザイ 〔集韻〕前󠄁西切 ※韻の説明は「齊、平聲」

🈪 カイ 〔集韻〕居諧切 ※韻の説明は「佳、平聲」

四⃞ サイ 〔集韻〕莊皆切 ※韻の説明は「佳、平聲」

🈩㊀ なめる。〔說文〕嚌、嘗也、从口齊聲、周󠄀書曰、太保受同祭嚌。〔禮、雜記下〕主人之酢也、嚌之、衆賓兄弟、則皆啐之。〔注〕嚌・啐、皆嘗也、嚌、至齒、啐、入口。

㊁ 古は、𠴧(2-3750)に作る。〔集韻〕嚌、古作𠴧。

㊂ 齊(12-48560)に通ず。〔禮、祭統、君執鸞刀齊、釋文〕齊、本亦作嚌。

🈔㊀ 鳥の悲しいこゑ。〔集韻〕嚌、鳥哀聲。

㊁ うれへ悲しむ。嚌嚌。〔太玄經、樂〕管絃嚌嚌。〔注〕嚌嚌、憂悲也。

🈪 多くのこゑ。嚌嚌。〔集韻〕嚌、嚌嚌、眾聲。〔班彪、北征賦〕鵾鷄鳴以嚌嚌。〔注〕善曰、嚌嚌、眾聲也。

四⃞ 笑ふさま。嚌啀。〔集韻〕嚌、嚌啀、笑皃。

様々な文献から、五つの義を抜き出している。

「悲しむ」と「笑う」という、殆ど真逆の説明がなされるのも特徴の一つと言える。

大きく分けると「なめる」「声」「笑う」という三種類の意義があることが分かる。「なめる」だけは說文、それ以外は集韻に説明がある。

現用の中文では第一義の「なめる」という意味で主に使われている。台湾ではこの字形で、大陸では簡体字として「哜」という字が使われている。

康熙字典

康熙字典網上版には、次のように書かれている。

嚌 古文

𠴧〔唐韻〕在詣切〔集韻〕〔韻會〕〔正韻〕才詣切𠀤音󠄁劑〔說文〕嘗也〔書顧命〕太保受同祭嚌〔傳〕太保既拜而祭既祭受福嚌至齒則王亦至齒〔禮雜記〕小祥之祭主人之酢也嚌之 又〔集韻〕前西切音󠄁齊鳥哀聲 又居諧切音󠄁皆嚌嚌衆聲〔班彪北征賦〕鴈雝雝以羣翔󠄁兮鵾雞鳴以嚌嚌游子悲其故鄕兮心愴悢以傷懷 又〔集韻〕莊皆切音󠄁齋嚌啀笑貌

補足

Unicodeの資料UNICODE HAN DATABASEには、次のようにある。

U+568C kJapaneseKun NAMERU

U+568C kJapaneseOn SEI ZAI KAI SAI

音読みについては大漢和から引用されたものと思われるが、訓読みの初出が定かではない。実際に、日本語文章内に於いて使われている例が確認できていない。

別の資料として、ATOK2010の文字パレットでは、読みは、音読みは「セイ」、訓読みは「な・める」となっている。ATOKの送り仮名に従えば、「嚌める」という表現になるが、これについても使用例が確認できていない。

なめると言う意味であることは疑いようがないが、これが訓読みとして認知されているかどうかは別の問題である。

発音

熟語

  • 嚌嚌 (少しなめる、の意)
  • 嚌とともに 臽 (なんだかとっても!いいかんじ)

補足

JIS X 0208にはなく、JIS X 0212(補助漢字)とJIS X 0213に収録されている字である。

なんだかとっても!いいかんじ」では、「とりのかなしげなこえ」という訓読みを与えている。この典拠は「漢字部屋」に訓として記されていたことによる。漢字部屋は、参考文献として大漢和辞典、漢字源、新大字典、新漢語林、中華字海を挙げているが、訓を拾った元を明らかにしていない。

大漢和辞典にあった「鳥の悲しい声」を独自の解釈で「とりのかなしげなこえ」という訓読みだとし記載したという可能性はある。

用語の所属
漢字

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