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聴力を失っていること。あるいは、そのような人のこと。漢字では「聾」と書かれる。聴覚障害(障礙)。
耳が聞こえにくい/聞こえないことを「つんぼ」という。類似表現に「耳が遠い」「難聴」などがある。
由来は明らかでないが、非常に古い大和言葉だと考えられる。
「つんぼ」という語は現在、差別的であるとし、使用が忌避される傾向にある。放送禁止用語であり、テレビなどでは使われない。また、新聞などでも使われることはまず無いと考えられる。
現在のメディアは、特に全く聞こえない人については、「耳の不自由な人」「聴覚障害者(聴覚障礙者)」などと言い換えている。
しかしながら「障礙」「障害」などの直接的な表現ではなく、何のことだか分からないような表現をするところに、日本語らしさがあった。「つんぼ」という表現は、直接的な「不自由」「障害者(障礙者)」などより、遙かに気を遣った言葉だと取ることもできるのである。
そもそも「つんぼ」だからといって全く聞こえないわけではない。高周波は聞こえなくとも低周波は聞こえる、といった聴覚特性を持った人もいるのである。
「つんぼ」あるいは「耳が遠い」とはどういうことか。この語は、意味合い(ニュアンス)のみが存在し、明確な定義はない。これは、日本語らしい曖昧な表現だからである。
ゆえに、「つんぼ」あるいは「耳が遠い」と、「耳が全く聞こえない」は、意味が異なる。また「つんぼ」あるいは「耳が遠い」とは、必ずしも全聾を指しているわけではない。全聾という表現があることからも分かるように、聾(ろう、つんぼ)という状態は必ずしも全く聞こえないわけではないのである。
産まれたときから全聾であると、言葉を聞いて覚えることができない。延いては人と会話することが出来なくなる。
かくして会話できない人を「おし」(唖)という。唖者は聾者であることが多いので、二つを合わせて「聾唖」(ろうあ)という。「聾唖者」という語は、今のところ差別語認定はされていないようだ。
かつて刑法第40条に、瘖唖者(いんあしゃ、出生時または幼少時からの聾唖者)の罪を罰しない、または軽減する、という条文があった。
瘖唖者ノ行為ハ之ヲ罰セス又ハ其刑ヲ減軽ス
しかしこれは、聾唖者は自己責任を取れない非人間とみなす差別的な取り扱いであるため、聾唖者関係団体の要求により1995(平成7)年にようやく削除された。
歌舞伎で、舞台から遠くて声が聞こえない場所を「つんぼ桟敷」(さじき)という。
しかし「つんぼ」を含むという理由でこれも差別語だとし、同様にして排斥された。言葉狩りも、過ぎればそれ自体が差別である。
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