尿
読み:にょう
外語:Urine
血液
中の不要物を
腎臓
が濾して作る液体の
排泄物
。
小便
。
おしっこ
。
小水
。
目次
概要
特徴
液性と色調
尿量
濃度
健康状態の反映
色
泡
臭い
液性
補足
成分
関連する疾病
概要
水分摂取量にもよるが、成人で一日に1500ml程度を
排泄
するとされる。
単純計算すると、一年で550L程度、人生を80年とすると一生で43,800L程度を排泄することになる。
以下は、特に断わりが無い限りは人間の尿について説明する。
特徴
液性と色調
正常時は
弱酸性
(pH5〜7)であり、
色
は性別年齢問わず
淡黄色
である。
色は
肝臓
で作られる
胆汁
色素の
ビリルビン
から腸内細菌によって変化した、
ウロビリン
、ウロビリン体、
インドール
誘導体などの色素成分によるもので、特にウロビリンの影響が強い。
また、非常に濃い
黄色
を呈している
ビタミンB2
を摂取したときは、この一部が尿中に排泄され尿を濃い黄色にする。
尿量
前述のように、1日の正常尿量は成人で1500ml前後である。
尿の量と質は身体の状態を反映する。
乏尿
‐ 1日の尿量が400ml以下
無尿
‐ 腎臓の尿生成が停止した状態で、1日の尿量が100ml以下
頻尿
‐ 排尿回数が多いもの(1日あたり8〜10回以上が目安)
尿閉
‐ 腎臓での尿生成はあるが、尿路の異常で尿が体外に出せなくなる状態
尿失禁
‐ 排尿の意志がないのに排尿が生じること
濃度
哺乳類
の腎臓は、体液(
血漿
)よりも浸透圧が高い尿を作る性能を有している。
実際に排泄される尿は様々な浸透圧があるが、血漿の浸透圧と比較して、次のように呼び分ける。
高張尿 ‐ 血漿より浸透圧が高い尿、濃縮尿とも
等張尿 ‐ 血漿と浸透圧がほぼ等しい尿
低張尿 ‐ 血漿より浸透圧が低い尿、希釈尿とも
就寝中は
利尿作用
を弱める
抗利尿ホルモン
やアルドステロンが働き、高濃度の尿(高張尿)が作られるため、寝起きの尿は濃い。
対して、
水分
を多く摂取した結果排泄される尿は、水分量の多い低張尿となる。
健康状態の反映
尿は、健康状態によってよく変化する。
色
ヒトの尿は、性別年齢問わず、正常時は
透明
で
淡黄色
である。
なお、
赤ん坊の尿が青いのはテレビCMだけ
。本当に青い尿が出る症例はあるが、その時は病気なのですぐに
病院
に行くべきである。
淡黄色
正常
透明
、黄褐色
水分
が多いときは色が薄くなり、脱水気味になると濃い黄褐色になる。
この変化は、必ずしも
病気
とは限らない。
赤
健康を害し
血液
が混じると赤くなり、これを
血尿
と呼ぶ。
膀胱炎
、
腫瘍
、結石、突発性腎出血などが原因となるが、いずれにしても早急に泌尿器科専門医の診察と精密検査が必要になる。
青緑
緑膿菌性の
膀胱炎
(通常は
大腸菌
)に罹ると青緑色の尿が出ることもある。
その他
点滴やビタミン剤を飲んだあとには、薬の色が出て尿の色が変わることもある。
泡
尿が泡立つことがある。特に異状が無くとも、尿が濃い場合は泡立つ。こういった泡は、見ていると次第に消えてゆく。
しかし、なかなか泡立ちが消えないときは尿に蛋白が混じっている可能性があるとされている。本当かどうかは定かではないが、不安なら
検査
を受けるべきである。
臭い
尿の特有の臭いは、成分である
尿素
が空気中の
細菌
により
アンモニア
に分解されることで発生するため、排泄直後の尿はそれほど臭いが強くないのが正常である。
良くある、病気に関する異常尿臭は次の通り。いずれも遺伝病で幼児期に発症するもので、
難病
に認定されている。
フェニルケトン尿症(PKU)
フェニルアラニン誘導体が尿中に含まれるため、異臭を放つ。
「ネズミの尿のような」臭いだとされているが、実際にそれを嗅いだことがある人がどれだけいるのだろうか。
メープルシロップ尿症(MSUD)
メープルシロップのような特有の臭気を放つ。
イソ吉草酸血症
稀な症例だが、「汗をかいた時の足の裏のような」臭気を放つとされる。
尿中には様々な臭いのある
物質
が含まれていることから、特殊な臭いがすることも珍しくはない。例えば、
コーヒー
や
カレー
、ニンニクなど臭いの強いものを食べた後、尿にその臭いが出るのは正常で、病気ではない。
液性
健康時の尿は
弱酸性
だが、食事や健康状態により変わる。
酸性
に傾いたときは、発熱、脱水、腎炎、
糖尿病
、
痛風
などが疑われ、
アルカリ性
に傾いたときは
尿路感染症
などが疑われる。
補足
成分
ヒトの場合、正常な尿の成分は約95%が飲用によって摂取された
水
、または
炭水化物
(でんぷん)が
代謝
されて出来た水である。
残りの約5%に、体内で代謝された
有機物
や、
無機物
、
ビタミン
、
ホルモン
、
酵素
、摂取された有毒物や薬品など、様々な固形物が含まれる。
代表的な固形物成分は次のとおり。
有機物
尿素
(蛋白質が代謝されできたアンモニアを元に肝臓で生合成される)
尿酸
(核酸の構成成分であるプリン体の代謝産物である)
馬尿酸
乳酸
クレアチニン
(クレアチンの代謝物)
無機物
塩化ナトリウム
アンモニア
ナトリウム
カリウム
マグネシウム
硫酸塩
燐酸塩
蓚酸カルシウム
その他
蛋白質
糖
色素成分
ビリルビン
(疾病時に出現する)
ウロビリン体 (ビリルビンの誘導体)
ウロビリン
ウロビリノーゲン
血球成分
赤血球
白血球
細胞成分
扁平上皮細胞 (感染症、結石などの時に出現する)
移行上皮細胞 (感染症、結石、がんなどの時に出現する)
腎尿細管上皮細胞 (腎実質疾患の時に出現する)
卵円形脂肪体 (重症ネフローゼ症候群の時に出現する)
細胞質内封入体細胞
円柱上皮細胞 (感染症などの時に出現する)
アミノ酸
(異常成分)
シスチン
チロシン
ロイシン
円柱
この尿中固形物のうち、半分は尿素である。
このほかに、服用した薬剤等(例えば造影剤、
抗生物質
など)が現われる。
関連する疾病
尿に関する主な疾病や症状は次の通り。
血尿
尿路感染症
腎盂腎炎
膀胱炎
尿道炎
おねしょ
夜尿症
尿失禁
頻尿
糖尿病
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