18族に属する銀白色の遷移金属元素。
一般情報
原子情報
- 原子量: 83.798(2)
- 電子配置:
- 1s2、2s2、2p6、3s2、3p6、3d10、4s2、4p6
- [Ar]3d10、4s2、4p6
- 電子殻: 2、8、18、8
- 原子価: 0、2
- 酸化数: 0、+2
物理特性
- 相: 固体
- 融点: 竏157℃(ICSC)
- 沸点: 竏153℃(ICSC)
- CAS番号: 7439-90-9
- ICSC番号: 0604
質量数は、69から101までが確認されており、その中に核異性体も存在する。安定同位体は六つある。
- 78Kr
- 80Kr
- 82Kr
- 83Kr
- 84Kr
- 86Kr
なお、このうちクリプトン78(78Kr)やクリプトン86(86Kr)は、長寿命放射性同位体であるらしい。一説ではクリプトン78(78Kr)の半減期20垓年とも言われる。
同位体核種 | 天然存在比 | 半減期 | 崩壊 | 崩壊後生成物 |
69Kr | ‐ | | β+崩壊 | 69Br |
70Kr | ‐ | | β+崩壊 | 70Br |
71Kr | ‐ | | β+崩壊 | 71Br |
72Kr | ‐ | | β+崩壊 | 72Br |
73Kr | ‐ | | β+崩壊 | 73Br |
74Kr | ‐ | | β+崩壊 | 74Br |
75Kr | ‐ | | β+崩壊 | 75Br |
76Kr | ‐ | 14.8時 | β+崩壊 | 76Br |
EC崩壊 | 76Br |
77Kr | ‐ | 1.24時 | β+崩壊 | 77Br |
EC崩壊 | 77Br |
78Kr | 0.35% | 2×1021年 | (2β+崩壊) | 78Se |
79Kr | ‐ | 1.46日 | EC崩壊 | 79Br |
β+崩壊 | 79Br |
80Kr | 2.28% | 安定核種(中性子数44) |
81Kr | 0.35% | 22.9万年 | EC崩壊 | 81Br |
81mKr | ‐ | | | |
82Kr | 11.58% | 安定核種(中性子数46) |
83Kr | 11.49% | 安定核種(中性子数47) |
83mKr | ‐ | | IT崩壊 | 83Kr |
84Kr | 57.00% | 安定核種(中性子数48) |
85Kr | ‐ | 10.77年 | β−崩壊 | 85Rb |
85mKr | ‐ | | β−崩壊 | 85Rb |
IT崩壊 | 85Kr |
86Kr | 17.30% | 安定核種(中性子数50) |
87Kr | ‐ | 1.27時 | β−崩壊 | 87Rb |
88Kr | ‐ | 2.84時 | β−崩壊 | 88Rb |
89Kr | ‐ | | β−崩壊 | 89Rb |
90Kr | ‐ | | β−崩壊 | 90Rb |
91Kr | ‐ | | β−崩壊 | 91Rb |
92Kr | ‐ | | β−崩壊 | 92Rb |
93Kr | ‐ | | β−崩壊 | 93Rb |
94Kr | ‐ | | β−崩壊 | 94Rb |
95Kr | ‐ | | β−崩壊 | 95Rb |
96Kr | ‐ | | β−崩壊 | 96Rb |
97Kr | ‐ | | β−崩壊 | 97Rb |
98Kr | ‐ | | | |
99Kr | ‐ | | | |
100Kr | ‐ | | | |
101Kr | ‐ | | | |
安定核種に対し、質量数が大きすぎるまたは小さすぎる場合は複雑な崩壊となり、質量数が小さいと陽子放射、大きいと中性子放射が同時に起こることがある。
1898(明治31)年、イギリスのラムゼーとトラバースが、液化した空気中から発見した。
化学名Kryptonは、ギリシャ語で「隠れた」を意味するκρυπτο'σ(krypto's)から付けられた。
希ガスである。放射効率はアルゴンより良く、放電管の封入ガスとしても使われている。
かつては、長さの単位メートルの定義にも使われた。1960(昭和35)年、1メートルは「クリプトン86(86Kr)原子の準位2p10と5d5間での遷移に対応する光の真空中での波長の1,650,763.73倍に等しい長さ」と定義された。1983(昭和58)年に「1秒の299,792,458分の1の時間に光が真空中を伝わる行程の長さ」に変更されるまで使われた。
地球の空気には体積割合でクリプトン0.000114%(=1.14ppm)含まれており、この空気から分離して生産される。同様に微量含まれるネオンやキセノンを分離する必要があるため、この時にこれらも併産される。
クリプトンの約80%はロシアとウクライナで生産されている。このため、2022(令和4)年のロシアによるウクライナ侵略により、クリプトンの供給不足が引き起こされた。
現在知られる唯一の化合物は、クリプトンの酸化数+2の次の物質である。
- 二弗化クリプトン (KrF2) (13773-81-4)
- 引火点: 不燃性
- 発火点: 不燃性
- 爆発限界: 不燃性
- 刺激
- 腐食性: (該当資料なし)
- 刺激性: (該当資料なし)
- 感作性: (該当資料なし)
- 毒性
- 急性毒性: (該当資料なし)
- 慢性毒性: (該当資料なし)
- がん原性: (該当資料なし)
- 変異原性: (該当資料なし)
- 生殖毒性: (該当資料なし)
- 催畸形性: (該当資料なし)
- 神経毒性: (該当資料なし)
- 分解性: (該当資料なし)
- 蓄積性: (該当資料なし)
- 魚毒性: (該当資料なし)
35 臭素 ‐ 36 クリプトン ‐ 37 ルビジウム
関連するリンク
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元素
遷移金属元素
KR