銀白色の金属元素の一つ。
一般情報
原子情報
- 原子量: 173.04(3)
- 電子配置:
- 1s2、2s2、2p6、3s2、3p6、3d10、4s2、4p6、4d10、4f14、5s2、5p6、6s2
- [Xe]4f14、6s2
- 原子価: 2、3
- 酸化数: 0、+2、+3
物理特性
質量数は、148から181までが確認されており、その中に核異性体も存在する。安定同位体は7つある。
- (168Yb)
- (170Yb)
- (171Yb)
- (172Yb)
- (173Yb)
- (174Yb)
- (176Yb)
しかし、この全てが長寿命放射性同位体であると考えられている。
同位体核種 | 天然存在比 | 半減期 | 崩壊 | 崩壊後生成物 |
148Yb | ‐ | | β+崩壊 | 148Tm |
149Yb | ‐ | | β+崩壊 | 149Tm |
150Yb | ‐ | | β+崩壊 | 150Tm |
151Yb | ‐ | | β+崩壊 | 151Tm |
152Yb | ‐ | | β+崩壊 | 152Tm |
153Yb | ‐ | | β+崩壊 | 153Tm |
α崩壊 | 149Er |
154Yb | ‐ | | β+崩壊 | 154Tm |
α崩壊 | 150Er |
155Yb | ‐ | | β+崩壊 | 155Tm |
α崩壊 | 151Er |
156Yb | ‐ | | β+崩壊 | 156Tm |
α崩壊 | 152Er |
157Yb | ‐ | | β+崩壊 | 157Tm |
158Yb | ‐ | | β+崩壊 | 158Tm |
159Yb | ‐ | | β+崩壊 | 159Tm |
160Yb | ‐ | | β+崩壊 | 160Tm |
161Yb | ‐ | | β+崩壊 | 161Tm |
162Yb | ‐ | | β+崩壊 | 162Tm |
163Yb | ‐ | | β+崩壊 | 163Tm |
164Yb | ‐ | | EC崩壊 | 164Tm |
165Yb | ‐ | | β+崩壊 | 165Tm |
166Yb | ‐ | 2.36日 | EC崩壊 | 166Tm |
167Yb | ‐ | | β+崩壊 | 167Tm |
168Yb | 0.13% | >1.3×1014年 | | |
169Yb | ‐ | 32.02日 | EC崩壊 | 169Tm |
170Yb | 3.05% | 安定核種(中性子数100) |
171Yb | 14.30% | 安定核種(中性子数101) |
172Yb | 21.90% | 安定核種(中性子数102) |
173Yb | 16.12% | 安定核種(中性子数103) |
174Yb | 31.80% | 安定核種(中性子数104) |
175Yb | ‐ | 4.19日 | β−崩壊 | 175Lu |
176Yb | 12.70% | 安定核種(中性子数106) |
177Yb | ‐ | 1.9時 | β−崩壊 | 177Lu |
178Yb | ‐ | | β−崩壊 | 178Lu |
179Yb | ‐ | | β−崩壊 | 179Lu |
180Yb | ‐ | | β−崩壊 | 180Lu |
181Yb | ‐ | | β−崩壊 | 181Lu |
安定核種に対し、質量数が大きすぎるまたは小さすぎる場合は複雑な崩壊となり、質量数が小さいと陽子放射、大きいと中性子放射が同時に起こることがある。
ガラスの色付けなどに使われている。ガラスに混ぜると黄緑色を呈する。
また、YAGレーザー素子の添加物として使われている。
- 引火点: (該当資料なし)
- 発火点: (該当資料なし)
- 爆発限界: (該当資料なし)
- 刺激
- 腐食性: (該当資料なし)
- 刺激性: (該当資料なし)
- 感作性: (該当資料なし)
- 毒性
- 急性毒性: (該当資料なし)
- 慢性毒性: (該当資料なし)
- がん原性: (該当資料なし)
- 変異原性: (該当資料なし)
- 生殖毒性: (該当資料なし)
- 催畸形性: (該当資料なし)
- 神経毒性: (該当資料なし)
- 分解性: (該当資料なし)
- 蓄積性: (該当資料なし)
- 魚毒性: (該当資料なし)
1794(寛政6)年、ヨハン・ガドリン(Johan Gadolin)によりストックホルム近郊のイッテルビー村で採取された鉱物から発見された。後にこの鉱物はガドリン石と呼ばれるようになり、またガドリンはこの元素にイットリアと命名した。
但し、このイットリアは実際には純粋ではなく、その後の研究により、最終的には九種類もの希土類元素が含まれていた。
まず1843(天保14)年、スウェーデンのモサンダーは、イットリアは三つの元素からなることを見出した。そこでイッテルビー村の名を三分割し、それぞれにイットリア、テルビア、エルビアと命名した。このうちイットリアにイットリウムの名が与えられ、残りはテルビウム(Tb)、エルビウム(Er)の名が与えられた。
1878(明治11)年、スイスの化学者マリニャックは、エルビアが純粋でないことを見出し、新元素を発見した。元素名が地名だったので彼も地名にこだわるが、既に村名は三分割して使われている。そこで村名をそのまま使い、イッテルビウムと命名した。
しかし、このイッテルビウムも純粋では無かった。1907(明治40)年、フランスの化学者ジョルジュ・ユルバンにより、イッテルビウムは二つの元素からなることを発見した。そのうち一つはイッテルビウムとし、もう一つはユルバンの故郷パリの古称ルテチアからルテチウムと命名された。
具体的には、次のように単離されている。
- 酸化イッテルビウム(III) (Yb2O3) (1314-37-0)
69 ツリウム ‐ 70 イッテルビウム ‐ 71 ルテチウム
用語の所属
元素
ランタノイド
遷移金属元素
希少金属
YB