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磁気素材と従来のシリコン回路を組み合わせたメモリー技術。磁気によって情報を記憶する不揮発性メモリーで、SRAM並の速度と、フラッシュメモリーのような不揮発性を実現させた。
ハードディスクドライブなどに利用される薄膜磁性体生成技術の応用であり、メモリー媒体を磁性体にすることで不揮発性、半導体回路で構成することで高速性を両立させている。
待機時の消費電力はゼロであり、電源を切ってもデータは消えない(不揮発)。
消費電力が少ないこともあり、究極のメモリーとなる可能性を持っている。
MRAMはTMR素子(Tunneling Magnetoresistive)を使用する。TMR素子は数原子分の厚さの絶縁物を磁性体で挟んだもので、電線・磁性体・絶縁体・磁性体、という構造をなす。
この時、電線に流す電流の方向に応じて、その直下の磁性体が磁化され、磁気の方向が変化する(絶縁体の下の磁性体は変化しないように工夫されている)。
そして、磁性体の上下で磁界(磁場)の方向が同じなら、薄い絶縁物はトンネル効果によって電流が流れやすくなり、抵抗値が下がる。対して、上下で磁界の方向が違っていると、絶縁層に電流は流れにくくなり抵抗値が上がる。そして例えば、この抵抗値が低い状態を「0」、抵抗値が高い状態を「1」とすれば、情報が記録できることになる。
しかも磁気記録なので、コンパクトカセットやビデオテープ、あるいは磁気ディスクや磁気カードなどの磁気情報などと同様に、MRAMの情報は電源を切っても消えない不揮発性を持っている。しかしまた、これらと同様、外部からの磁気の影響に弱いという弱点もある。MRAMに「ピップエレキバン」を貼り付けたらデータが消えた、なる報告がある。
MRAMは更なる大容量化のためには各素子の状況を読み取るセンスアンプの小型化が必要となるが、TMR素子の信号増強と書き込み時の電流低減が重要となる。
MRAMをはじめて製品化したのはFreescale社で、容量4Miビットの「MR2A16A」という製品である。
同社は2006(平成18)年7月10日(現地時間)に、量産と販売を開始したと発表した。
発表によると、この製品「MR2A16A」は、同社保有の特許100件以上が使われており、容量は4Miビット、読み書きサイクル時間は35ns、とされる。そして、この技術の商品化に成功したことで今後、価格やサイズ、消費電力が大幅に改善された新型の電気製品が登場するだろう(意訳)、としている。
日本では特にNECが熱を入れていることが知られ、東芝と共同で、大容量のMRAMを実用化するための基盤技術確立の研究を行なっている。
2008(平成20)年のnano techに出展されたNECのMRAMは4Miビットのもので、これが四個搭載された評価用ボード(2Miバイト)が展示されていた。
またNECは、250MHz(アクセス速度4ns)で動作する世界最高性能のMRAM(容量は1Miビット)の開発にも成功している。
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