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原子炉のタイプの一つ。黒鉛炉の一つで、冷却材にヘリウムを用いる。
燃料はウランを用いるが、その燃料体は幾つかのタイプが研究されている。
ブロック型燃料は直径約0.9mmの粒状で、日本の実験で用いられるものは、耐熱1600℃のセラミックス(炭化珪素など))の被覆で覆っている。
これを耐熱2500℃の黒鉛製の炉心構造材に充填して用いる。
もし万一電源が喪失したり冷却材が失われたりしても、炉心は理論上1600℃を超えることがなく、燃料の被覆が熱で壊れることもない。黒鉛製の炉心構造材も熱で溶融することがく、また放熱効果も高いので自然に冷却することができ、安全性が高い。
高温ガス炉は黒鉛が炉心構成材料であるとともに中性子減速材でもある。
炉心は負の反応度フィードバック特性を持っており、燃料温度が上昇すると原子炉出力は低下する。
制御棒で原子炉緊急停止(スクラム)をせずとも原子炉は自動的に未臨界となる。そのまま放置していると再び臨界するが、しかし炉心の温度上昇との負フィードバックにより出力は微小な状態で安定する。つまり、暴走することがない。
茨城県大洗町の日本原子力研究開発機構(JAEA)にある試験研究炉「HTTR」で、実際に運転中に炉心冷却装置を停止する実験が実施された。
これは福島第一原子力発電所の事故と同様の状況となるが、実験開始後、「HTTR」は理論通り、何事もなく自動停止した。
軽水炉などでは炉心冷却を停止すると温度が急上昇して危険な状況になるが、高温ガス炉ではそのようなことが生じないことが実験によって実証されている。
高温ガス炉は軽水炉などと炉心の構造や冷却方法が異なることが安全性を高めている。
軽水炉の場合、運転中の炉心温度は300℃程度であり、燃料被覆や炉心構造材は金属製で耐熱温度は千数百度である。また、冷却材に軽水つまり単なる水を使う。冷却材が失われると、炉心温度は2000℃前後にまで上昇するため燃料被覆や炉心構造材は溶融し、燃料は漏出する。さらに、溶けた金属と冷却水の水蒸気が反応して水素爆発を生じさせ、炉心を収納する原子炉圧力容器を破壊してしまう。
対して日本の実験炉「HTTR」の場合、運転中の炉心温度は950℃程度と高温だが、燃料は耐熱1600℃のセラミックスで覆われ、黒鉛製の炉心構造材も耐熱が2500℃あることに加え、ヘリウムは化学的に安定しており反応性がなく、燃焼性もないため、水素爆発を生じない。また、炉心も耐熱温度の1600℃を超えることは無いため、放射性物質が漏れることはない。
日本では、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓から、より安全性の高い原子炉への移行が検討されている。
その中で、現在研究中の、放射性物質の放出や炉心溶融の恐れがない安全性の高い「高温ガス炉」に注目が集まっている。「高温ガス炉」は2030(令和12)年の実用化を目指して実験が進められており、日本国政府は研究開発を積極的に推進するとした。
「高温ガス炉」は、発電コストはの軽水炉の2/3で済み、発生する使用済み燃料の量も軽水炉の1/4で済み、また冷却に水が不要なことから海沿いだけでなく内陸や山の中でも建設可能であるなど、利点が多い。
ただ、大規模化した場合は冷却効率が低下するため、発電出力は大型軽水炉の1/4の30万キロワット程度に留まるという課題がある。試験研究炉「HTTR」は1991(平成3)年に着工し1998(平成10)年に初臨界しながら長く注目が集まらなかったのは、この出力に難があったためである。
しかし東日本大震災以降は「規模より安全」となり、一躍注目が集まるようになった。
原子炉は熱を発生させることが目的だが、発電以外に、この熱を水槽製造など幅広い用途が期待されている。
「高温ガス炉」を研究中の日本原子力研究開発機構は、沃素と硫黄を用いて約900℃で水を分解して水素を作る方法を開発しており、「高温ガス炉」と併用することで燃料電池用などの水素需要にも応えることが可能としている。
2014(平成26)年現在、稼働中の「高温ガス炉」は日本のHTTRと支那の試験炉のみで、共に700℃で運転している。日本は、上に述べるような応用を目的に950℃での運転を目指しており、世界の研究のトップを独走中である。
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