発現した場合、その個体を死に至らしめる遺伝子のこと。
遺伝子の中には、致死遺伝子というものがある。
ヘテロの状態では、体のどこかに異常はあっても致死作用は劣性として働くため致命的ではないが、その同じ形の遺伝子をホモで持つと個体を死に至らしめる。
胎児期に発現すれば胎児のうちに死亡し流産や死産となる。成長してからでも、発現すれば重病を罹患し死んでしまう。
ハツカネズミの体色は、野生型は灰色、異常型が黄色となる。正常な灰色では、灰色遺伝子(y)を持つ。対し、黄色では、黄色遺伝子(Y)を持っている。
さて、親が共にYyの時、yy・Yy・Yy・YYの四通りがありうる。
このとき、一つでもYがあれば体色は黄色である。しかしこの遺伝子は致死遺伝子であり、YYホモの場合は母体内で死亡するため生まれてこない。
この例では、優劣について二種類の考え方ができる。
同じ遺伝子でも、見方により優性にもなり劣性にもなる好例として、よく取り上げられている。
人間の場合は大体5個程度の致死遺伝子を持っているとされる。
血の近い者同士なら、その形は似通っているので、近親交配では致死遺伝子をホモでもつ可能性が高くなる。
これは、近親交配では遺伝病が発生しやすくなるため、これを自然に排除するために致死遺伝子があるのではないか、と考えられている。
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