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悪性伝染病「天然痘」を引き起こす病原体であるウイルスの名。「天然痘ウイルス」とも。多くの場合、天然痘と言った場合は病気と同時にウイルス自体をも指す。
現在のウイルス学では、次のように分類される。
非常に強い感染力があり、また病原性も極めて強い。ウイルスはBSL-4(バイオセーフティーレベル4)に分類される。
感染すると、数日間の潜伏期を経た後、天然痘に罹患する。
死亡率は3割以上と高く、仮に命は助かっても全身のブツブツ痕は生涯消えることはない。
天然痘のウイルスは殆どが処分されたが、現在は米防疫センター(CDC)とモスクワのウイルス研究所にのみ、少量が冷凍保存されている。
バイオテロ抑止などの目的のためWHOで1999(平成11)年6月の処分が合意されたものの実行には移されておらず、さらに2002(平成14)年5月にはWHO年次総会で「良いワクチンが開発されるまで延期」が決定、事実上の無期限延期となった。
米国内では2011(平成23)年、「バイオテロへの備え」を理由として今後5年間は研究開発のためにウイルスを保持し続けることが提唱された。
おそらく米国は、米露以外の組織が密かにウイルスを保持していることを危惧するというよりは、米国が処分した後にロシアがそれを使う可能性が少なくないことを危惧しているのだろう。
既に自然には天然痘が無い現在、人類は痘瘡ウイルスに対する免疫が全くない状態である。
日本では、一般に右肩に注射をし、その痕(種痘痕)は生涯残る。
日本国内では、マスコミを中心として予防接種の反対運動が起こり、1972(昭和47)年頃から接種は任意に切り替わった。そして種痘が事実上中止されたのが1976(昭和51)年、WHOが天然痘根絶確認したのが1979(昭和54)年、日本が予防接種法の中で定期接種を正式に廃止したのが1980(昭和55)年とされる。
過去に予防接種をした世代は今も免疫を持っているかもしれないが、そうではない若い世代は、もはや種痘が行なわれることもなく免疫もない。天然痘が無いのに天然痘のワクチンを接種する理由がないからである。
このため、万が一残存するウイルスが撒かれるようなことがあれば、重大な事態へと発展する恐れがある。
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