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ペテン師が好んで用いる、健康に良いらしい物質の一つ(疑似科学)。海の底の水。
当たり前だが海の水なのだから塩水である。
そのままでは当然ショッパイわけで、飲用水として使えないことは誰でも先刻承知のことである。
そこでイオン交換樹脂などで脱塩し真水にしたあとで、適当にミネラル(濾したときにとれたカス)を混ぜたものを海洋深層水と一般に呼んでいるようだ。中には、海洋深層水を真水で希釈した製品もあるとされる。
これが、単なるミネラルウォーターとして扱われる分には、罪はそれほど重くないと思われる。実際に、市販価格も他のミネラルウォーターと大差ない。
しかしこれを、健康に良い、アトピーに効くなどという宣伝で売る者がおり、問題になっている。
そんな作り方で良いのなら、水道水からでも井戸水からでも同じものを作ることは可能だろう。しかし一旦真水にしたあとミネラルを混ぜるとすると、そのミネラルをどこから調達してくるか、という問題がある。
そうなると海水が一番手っ取り早いが、沿岸部だと水質確保が困難。どうせ沖から採取しなければいけないなら、ミネラルが多く溶けている深層水の方が効率的である、ということのようだ。
パイプを引くことで調達地点が固定化されてブランド化しやすい、初期投資が大きいことで同業他社が参入しにくく寡占状態が保ちやすい、というのもある。
そして最後に、なぜだか冠される「天然」の二文字が持つ魔力が人を引きつけるらしい。
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