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地熱の熱エネルギーを用いた発電の方法。このための設備を備えた発電所を地熱発電所という。
日本は火山国であるため熱源は豊富であり、有望なエネルギー源だと一時期考えられた。
次のような利点が存在したためである。
そして、バブルの好景気時代には、日本政府は湯水のように研究費を投入し、輸入に頼らない電力源確保を目指して地熱発電の実験を試みたが、遂に実用化できなかった。
NEDOは、新エネルギー総合開発機構として1980(昭和55)年10月1日に設立された。
これは、1973(昭和48)年の第一次オイルショック、1978(昭和53)年の第二次オイルショックにより、対外的な石油依存を絶つ必要があったためである。日本のエネルギーセキュリティーを考える上でも、欠くことができない研究であった。
結局その試みは成功しなかったが、経緯については2003(平成15)年3月26日の「地熱探査技術等検証調査貯留層変動探査法開発」及び「熱水利用発電プラント等開発 高温岩体発電システムの技術開発(要素技術の開発)」(二件合同)(事後評価)分科会」の資料が公開されている。
地熱発電は、以下のような展開を遂げたという。
バブルの好景気で得られた税収が、新エネルギー開発に費やされた。バブルが弾けた後も、1996(平成8)年頃までは予算が増え続けたが、大規模化によるコストカットが実現できず、遂に断念されたことになる。
電力が得られても高ければ使うことができない。安価にするためにはベースロード(基幹電源)にする必要があり、そのためには大規模化が必要不可欠だった。
しかしながら、地熱発電は大規模化すると熱源枯渇(減衰)が発生する。このため大規模化は技術的限界から頭打ちとなった。
当時、予算は潤沢に用意されたものの、技術的な問題の解決ができず、大規模化も出来ず、コストダウンできなかったことから、日本が電力自由化する際に地熱は「新エネルギー」に区分することができなかった。
バブル崩壊後、NEDOは原子力発電への対抗は断念し、大規模化を諦めてベンチャーキャピタルなどの参入で小規模路線を考えたが、採算がとれない上に立地条件も厳しいことから数を容易には増やせない。
こうして2002(平成14)年にはNEDOが地熱技術開発を終了し、そこで日本では地熱発電に終止符が打たれた。
莫大な研究費を投じて得られた知見は「(地熱といえども)埋蔵資源は有限だった」という、ありきたりの結論だった。
何らかのブレイクスルーが無い限りは、主力のエネルギー源にはなり得ない状況である。
現在の主な手法は、次の三種類である。
発生した蒸気を直接用いてタービンを回す方式。
掘って出てくるものが蒸気だけで、熱水等の湧出がなければ、それをそのままタービンに導いて発電することができる。
蒸気と熱水が共に得られる場合、蒸気と熱水を分け、蒸気のみを得る必要がある。日本の場合、熱水も共に出るため、この方法が一般的である。
分離して得られた熱水は、減圧すると水蒸気になる。そこで、分離した蒸気のみを使う方式をシングルフラッシュサイクル、減圧して得られた水蒸気を利用するものをダブルフラッシュサイクルという。
熱水のみが得られる場合でも、この熱水で水より沸点が低い物質を沸かし、これを用いてタービンを回すことができる。
例えば湧出する温泉が高温すぎる場合、通常は加水して適温にするが、この熱の一部を使って発電し、適温になった温泉を供給するようなことも考えられる。
水蒸気も熱水も出ない場合に使われる方法。
そもそも一般的な地熱発電は、自然に出来た「熱水だまり」の熱水や水蒸気を利用する方法である。しかし熱水だまりよりさらに深く掘れば、その下には熱源である、高温の岩盤(高温岩体)が存在する。
そこで、地下にある高温の岩盤(高温岩体)まで人工的に坑井(注水井)を掘り、ここに水を注入して岩体を粉砕することで、人工的に熱水だまりを造る。その後、別に掘った坑井(生産井)から水蒸気や熱水を得る方法である。
火山国の日本では高温岩体は広く分布しているため、この方法を用いれば地熱発電の候補地が広がるという利点がある。しかしこの方式は危険が伴い、また地下水汚染も懸念される。
高温岩体などよりも、さらに深く深く穴を掘れば、やがてマントルに存在する「マグマだまり」に突き当たると考えられる。火山国である日本には、「マグマだまり」は大量に存在すると予想される。
そこで、この莫大な熱エネルギーを持つマグマを熱源とするものが、マグマ発電である。
現在研究中の手法であり実用化の目途は全く立っていないが、そもそもマグマまで坑井を掘削する技術が実現できるかどうかは未知数である。
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