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急性灰白髄炎(きゅうせいかいはくずいえん)。ポリオウイルスの感染により罹患する病。"小児マヒ" とも呼ばれ、世界中で流行を繰り返した。
現在は予防接種の効果により、日本国内での自然感染はまず無い。しかしインドやアフリカなどでは流行があるため、この地域への旅行で感染したり、日本国内にウイルスが持ち込まれる可能性は否定できない。ポリオウイルスはBSL-2(バイオセーフティーレベル2)に分類される。
ポリオウイルスは便中に排泄されたウイルスが口から入り、咽頭や腸に感染する。ウイルスは1〜2週間程度で増殖するが、大抵の場合は不顕性感染で、この時終生免疫を獲得する。症状が出る場合は、ウイルスが血管内に入り、脳や脊椎へ感染し麻痺をおこす。時に、麻痺が治癒せず一生残ることもある。感染して麻痺が発生する率は1000〜2000人に1人の割合だが、麻痺患者が1人発生した時は、その周りに100人以上の感染者がいるとされている。
またポリオに罹患した人が30年〜40年後に、筋肉の痛みや痺れを訴える "ポリオ後症候群"(ポストポリオ;PPS)と呼ばれる二次後遺症を罹患することも確認されている。
ポリオのワクチンは経口ワクチンであり、つまり飲んで接種する。日本では、標準的には生後3〜18ヶ月頃に計2回の予防接種を行なう。但し欧米諸国では3〜6回程度の接種が普通に行なわれており、2回接種では流行時の感染予防には不十分である。ポリオ流行国に旅行する場合は追加接種することが望ましい。
世界保健機関(WHO)は1988(昭和63)年からポリオ根絶を開始した。目標は2001(平成13)年にポリオ発生国を10以下に減らし、2002(平成14)年末には全てのポリオ流行を遮断し、2005(平成17)年にポリオを撲滅することである。
しかし生ワクチンのワクチンウイルスが毒力復帰するなどし、ワクチンによる流行なども起きていて、ポリオ根絶は予定より遅れている。2004(平成16)年現在、常在流行国は6ヶ国(ナイジェリア連邦共和国、インド、パキスタン・イスラム共和国、アフガニスタン、ニジェール共和国、エジプト・アラブ共和国)のみとなった。2003(平成15)年の発生報告数は784件であるが、2004(平成16)年は10月時点で既に800件を越え、更にナイジェリア周辺国への輸入も確認されている。
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