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かつて光/熱/電磁気などを伝える媒質として宇宙空間を一様に満たしていると考えられていた物質。日本語読み(ローマ字読み)ではエーテルともいう。
17世紀末、ホイヘンスは光の干渉や回折を説明するため、光の波動説を提唱した。ここで、波動だとそれを伝幡する媒質が必要となるため、その媒質として仮想的に導入されたのがether(エーテル)である。19世紀になるとマクスウェルが光の電磁波説を唱え、またヘルツが電磁波の実存を実証するとエーテルは電磁波の媒質と考えられるようになった。
ところで、エーテルが光の媒質だとすると光の速さはこのエーテルに対する相対的な速さとなるはずである。地球はこのエーテルに対して速度を持つはずだが、1881(明治14)年にマイケルソンが単独で、次いで1887(明治20)年にはモーリーと共同で行なったマイケルソン‐モーリーの実験は、地球がエーテル中を進んでいるならば地球と同じ向きと反対側にそれぞれの方向に発した光は速度が違うはずで、それを観測すればエーテルの存在を確かめられる、という考えに基づいたものだったが、実験は失敗しエーテルの存在を否定した。またこの実験はそればかりか "光速度不変" の特殊特性を発見し、相対性理論の基礎となったことでも有名である。20世紀に入り、アインシュタインが特殊相対性理論を発表するに及んでエーテルは完全に否定された。
なお、R1-O-R2の構造を有する物質の総称であるエーテルとは何の関係もない。
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