アモール型小惑星

読み:あもーるがたしょうわくせい
外語:Amor asteroid 英語
品詞:名詞

地球近傍小惑星(NEA)のうち、火星軌道周辺を公転するもの。アモール群とも。

目次

火星軌道に近い軌道を公転する惑星である。その多くは火星軌道を横切り、一時的に地球公転軌道に接近することがあるため、潜在的な脅威である。

アモール型小惑星は次のように定義されている。

  • 軌道長半径が1.0を超える
  • その軌道は地球の公転軌道とは交差しない。すなわち軌道近日点は地球の軌道遠日点より大きく、1.017auを超えている
  • なおかつ地球近傍小惑星(NEO)である。すなわち軌道近日点は1.3au未満である

天体数

アモール型小惑星、2019(令和元)年時点で7500弱が報告されている。番号が付いているのはうち1000少々で、名前まで付いているものは100に満たない。

アモール型小惑星には分類されないが、火星がもつ二つの衛星フォボスデイモスはアモール型小惑星だったものが火星重力に捉えられたと考えられている。ただし、現時点ではこれを証明する明確な理論はない。

サブグループ

分類について

太陽からの距離に応じて、四つのサブグループに分類されるとする説が流布されている。ただしその根拠は不明である。

  • アモールⅠ (軌道長半径1.0au〜1.523au)
  • アモールⅡ (軌道長半径1.52au〜2.12au、離心率0.17〜0.52程度)
  • アモールⅢ (軌道長半径2.12au〜3.57au、離心率0.4〜0.6程度)
  • アモールⅣ (軌道長半径3.57以上、離心率0.65〜0.75程度)

アモールⅠ

軌道長半径1.0au〜1.523auで、すなわち地球と火星の公転軌道の間にあるもの。全体の20%弱とされる。

アモールⅡ

軌道長半径1.52au〜2.12auで、すなわち火星の公転軌道と小惑星帯メインベルトの間にあるもの。全体の1/3程度とされる。

離心率0.17〜0.52程度であるため、それらは火星軌道を通過する。

アモールⅢ

軌道長半径2.12au〜3.57auで、小惑星帯メインベルトの中に収まっている。アモール型小惑星の半分を占める。

離心率0.4〜0.6程度と大きいため、その一部は小惑星帯を超え木星軌道付近まで到達するものがあり、一部は木星軌道と交差している。

その軌道から、ここに属する小惑星はメインベルトの小惑星にも分類される。

アモールⅣ

軌道長半径3.57以上で、小惑星帯メインベルトを超えるもの。

離心率0.65〜0.75程度と大きく、木星軌道と交わる。中には土星軌道を超えている可能性があるものも見つかっている。

彗星軌道にも近く、こういったものはダモクレス型小惑星にも分類されている。

主要な天体

天体は膨大な数あるため、代表的なものの紹介に留める(小惑星番号があるものは番号順、ないものは識別符号順)。

  • (1221) 1932 EA1 アモール(Amor) ‐ ウジェーヌ・デルポルトが発見。名前はギリシャ神話のエロスやローマ神話のクピド(キューピッド)のラテン名アモルから。このカテゴリーの名前の由来
  • (433) 1898 DQ エロス(Eros) ‐ グスタフ・ウィットらが発見。名前はギリシャ神話のエロスからで、小惑星に男神名が命名された初のケースとされている
  • (3552) 1983 SA ドン・キホーテ(Don Quixote) ‐ アモールⅣとして最初に名前の付いた小惑星。名前は同名の小説およびその主人公から
用語の所属
地球近傍小惑星
関連する用語
アテン型小惑星
アポロ型小惑星

コメントなどを投稿するフォームは、日本語対応時のみ表示されます


KisoDic通信用語の基礎知識検索システム WDIC Explorer Version 7.04a (27-May-2022)
Search System : Copyright © Mirai corporation
Dictionary : Copyright © WDIC Creators club