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運輸多目的衛星新1号 ひまわり6号。世界気象機関による世界気象監視計画の一環として、日本が打ち上げた多機能気象衛星。
東経140°赤道上、高度約35,800kmの静止軌道上に配置されている。
気象観測だけではなく、飛行機の交通整理用の機能も持っている。
設計上の運用期限が切れた2010(平成22)年夏以降は、後継のひまわり7号に主たる観測機能を移し、6号は予備機として使用されるようになった。
本来ならば国産が望ましいところであったが、アメリカの圧力による国際競争入札で、不当廉売(ダンピング)同然で札入れされてしまった。
このため2003(平成15)年3月打ち上げ予定であったのに、メーカーの米スペース・システムズ/ロラール(SS/L)社の開発遅延や不具合が連発し、結局、打ち上げが夏に延期された。
揚げ句の果てにはメーカーの親会社ロラールが2003(平成15)年7月に倒産、打ち上げは2004(平成16)年2月に延期されたが、一時は納入すらも危ぶまれた。
2004(平成16)年3月になってようやく納入され、ロシアの大型貨物機アントノフ124による空輸で3月17日に鹿児島空港に到着した。
ちなみに後継のひまわり7号(MTSAT-2)は三菱電機製で、国内生産である。
当初は「ひまわり6号」の名は使えないだろうと考えられていた。実際に打ち上げに失敗したMTSAT-1の打ち上げ前に名前の公募をし、新名称として「みらい」が策定されていたのである。
これはそもそも、気象庁が運輸省(現在の国土交通省、以下同)の下にあったことが間違いの始まりで、1989(平成元)年の対米交渉「スーパー301」などの外圧や運輸省の思惑もあって、純粋な気象衛星ではなく運輸多目的衛星となった。
そして製造費163億円と初期運用費60億円の7割は国土交通省航空局が負担していることから、従来通り「ひまわり」としたい気象庁と、それ以外の名前にして自分らの威厳を示したい国土交通省の、愛称をめぐる(くだらない)鞘当てが激化したのである。
しかしMTSAT-1R衛星が打ち上げに成功し静止軌道に乗った2005(平成17)年3月8日、国土交通省は愛称として「ひまわり6号」を発表した。「みらい」は一度失敗していることから縁起が悪いとお蔵入りとなり、しかしそれ以外の愛称案もないことから国土交通省側が折れる形で、国民に広く定着している名前が優先された。衛星の愛称一つにも、様々な思惑と政争が隠れているのである。
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