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病害虫を駆除するための薬剤。
人類が農耕を開始してから現在に至るまで、それは病害虫との戦いの日々であった。
古くより稲作をおこない米を食べてきた日本も、稲が害虫に襲われれば飢饉が起こり、多くの死者を出す惨事を招くことがあった。このため、人が生きるためには害虫駆除は欠くことの出来ないこととなり、農薬の研究は進んでいった。
また除虫菊は古くから殺虫効果があることが知られ、蚊取り線香の原料として広く使われた。
1930年代、第二次世界大戦も近い時代になると、DDTなどの有機塩素系殺虫剤や、様々な有機燐系殺虫剤が開発されるようになり、これらは戦後、広く使われるようになった。但し、有機塩素系殺虫剤は人体にも有害なことや、自然界で分解しにくいことから早々に製造中止となり、農薬では主として有機燐系、日常の病害虫駆除ではピレスロイド系で、なるべく人体への害が少ないものの開発が進められるようになった。
長い歴史の中で様々なものが作られ使われてきた。特に、農業の敵であるアブラムシ類は次々と従来剤に対する抵抗性を示すようになっているため、対策として次々と新しい系統の殺虫剤が開発されることになっている。
また蜜蜂への影響が問題視されるようになってからは、蜂への影響が少ないものも開発されるようになった。
そのような中でも代表的なものは次の通りである(順不同)。
どのようにして殺虫するかにより、様々なものが作られている。
「即効」が求められる需要と、即効よりも残効が重視される需要とでは、使われる系統が異なる。
代表的なものの詳細は次の通りである。
いずれも昆虫の神経を麻痺させる神経毒である。
DDTは昆虫の神経軸索のナトリウムイオンチャンネルに作用し、神経伝達物質を異常放出させることで正常な神経伝達を阻害するものである。
いずれも毒性が強く、自然界で分解されないことから生物濃縮が生じたため、現在では殆どの国で製造販売が行なわれていない。
通常、神経伝達にはアセチルコリンが使われている。アセチルコリンは、神経伝達後にはアセチルコリ分解酵素アセチルコリンエステラーゼ(AChE)によって分解されるため、アセチルコリンが過剰になることは通常はない。
有機燐系殺虫剤はこのAChEに結合し、不可逆的にその機能を阻害する。もって体中に過剰のアセチルコリンを蓄積させ情報伝達を阻害する神経毒である。
有機燐系殺虫剤はコリンエステラーゼのセリン残基を燐酸化することで活性を不可逆的に阻害するのが特徴となる。
カーバメート系農薬あるいはカーバメート剤は、カラバル豆という有毒な豆の成分に見られるカーバメートと呼ばれる独特の構造をもった薬剤である。
自然界にあった成分を参考にして、人工的に合成されたものが使われており、効果は有機燐系殺虫剤などと同様でアセチルコリンエステラーゼ(AChE)の働きを阻害する神経毒である。
カーバメート剤はコリンエステラーゼのセリン残基に対し、燐酸化はせず、カルバモイル化することで活性を可逆的に阻害するのが特徴となる。
除虫菊に含まれる成分の総称をピレスロイドといい、この誘導体である合成ピレスロイドが、ピレスロイド系殺虫剤として広く使われている。
ピレスロイド系殺虫剤は、有機塩素系殺虫剤と同様に昆虫の神経軸索のナトリウムイオンチャンネルに作用し、神経伝達物質を異常放出させることで正常な神経伝達を阻害するものである。虫はそのまま痙攣と麻痺で死亡する。
効果が強く、人間への安全性も高いことから、現在、蚊取り線香や液体蚊取り、ゴキブリ駆除スプレーなど様々な市販の殺虫剤は、主としてこのピレスロイドである。
タバコ属植物に含まれているアルカロイドである。
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に作用することで、神経系を興奮させ続けることで殺虫する。
植物には無毒だが、動物でもアセチルコリンは作用していることから人畜に害がある難点がある。
クロロニコチニル系殺虫剤を総じてネオニコチノイドという。人畜に有害な硫酸ニコチンの毒性を低減するように開発された。植物には無毒だが、動物ではなお有害である。
硫酸ニコチンと同様、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に作用することで、神経系を興奮させ続けることで殺虫する。
アブラムシ駆除のため世界的に使われている。即効性はなく散布後もアブラムシは生きているように見えるが、麻痺症状は即効であり実は死へのカウントダウンはすぐに始まる。やがて動くのもままならなくなり、数日後には死んでいる。
ネオニコチノイドは、蜜蜂の大量死を招くとして、国によっては規制されている。
殺虫剤でも、農業で使うような、希釈して使うための高濃度のものは殺人にも使えるため購入に際しては印鑑などが必要となる。
市販されている製品は、比較的毒性が低い成分を使用しているものであり、その多くはピレスロイドである。
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