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有機塩素系殺虫剤の一種。正式には1,2,3,4,5,6-ヘキサクロロシクロヘキサンという。α、β、γ、δ体等の異性体があり、このうちγ体が殺虫効果を持っている。
分子式C6H6Cl6、分子量290.83。異性体混合物のCAS番号608-73-1、ICSC番号0487。
劇物指定。内分泌撹乱物質の一つ。異性体ごとのCAS番号はそれぞれ、319-84-6(α体)、319-85-7(β体)、58-89-9(γ体)、319-86-8(δ体)である。
BHCやリンデンとも呼ばれ、日本ではDDTに続いて農薬として使用されるようになった。神経を麻痺させる神経毒だが、人間に対する毒性が低いということで広く普及、かつてはダニ駆除剤として利用された。
殺虫剤として効果があるγ体の他、非常に安定した物質β体が稲などに大量に残留した。その稲わらを乳牛の餌として使ったため、牛乳がHCHで汚染されるようになり、1971(昭和46)年に発売禁止となった。
日本では農薬取締法に基づく登録が1972(昭和47)年度に失効して以来、農薬としては使用されていない。
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