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送電するための電線。発電所と変電所、または変電所と変電所を結ぶために、高電圧を使い大量の電力を運搬する電線のこと。
日本では、山中から街中などへの送電線では、一般に15万〜50万V(500kV)程度で送電されている。
一般的なスタイルでは、日本では3段階の系統に分かれており、次のようになっている。
例えば、札幌を中心とする道央には、道央ループ系統と呼ばれる275kVおよび187kVの基幹系統が存在する。
実際の各需要家に供給される系統が最後の配電系統である。工場、鉄道などは専用線があるが、それ以外にも街中に見られ電柱の間を這っているものも配電系統の一例で、電柱の最上部に平行に配された3本の電線が6600V程度の三相交流になっている。
標準的な系統電圧は次の通りである。一部系統においてのみ採用されているものも含む。
送電に使われる送電線は、鋼心アルミより線(ACSR)と呼ばれる送配電用電線が用いられている。その名の通り、亜鉛メッキ鋼線を中心に、その周辺に硬アルミ線をより合わせたものを用いている。
電気抵抗が少なく電には最適な素材と言えば銅であるが、銅は重く、また引っ張り強度が低いという欠点がある。ゆえに架空送電線には向いていない。そこで銅の代わりにアルミニウムを使うことが研究された。
アルミニウムは電気の良導体だが銅には劣る。従って銅よりも倍程度の断面積が必要となるが、それだけ太くしても銅よりは軽い。しかし引っ張り強度は銅よりも低いため、単なるアルミ線では架空送電線にはできない。
研究の結果、鋼線にアルミニウム線を撚り合わせることで、鋼線の引っ張り強度を得ながら、電気導電体としてはアルミの利点が得られるものができた。
送電線に使われるACSRのアルミ導体は、被覆がなく、導体がそのままむき出しになっている。普通の電線にある被覆の役割は、「空気」がしている。
一見危なそうだが、空気というのは実は優良な絶縁体であり、これを絶縁物として空中に裸の電線を張るのが送電線なのである。また、後述する理由により念入りに絶縁しても無意味であるため、送電線の軽量化のためにも、空気が絶縁体として用いられている。
とはいえ、高電圧の場合は絶縁体の十分な「厚み」が必要になるので、三相交流の各電線間の距離や、地上と電線の距離(高さ)、気温による伸び縮みや着雪など、いろいろ考慮が必要になる。さもないとショート(短絡)してしまう。
また、むき出しだと心配になる「錆」だが、アルミニウムは表面に安定な酸化物の膜を作り内部を保護するため、腐食しにくい(錆びにくい)という特徴がある。鋼線も鉄なのでそのままだと錆びるが、亜鉛メッキによって錆びにくくされている。
台風などで高圧の送電線が切れることがあるが、その電線には絶対にさわってはいけない。電線に高電圧が流れている可能性があるからである。
なお、もしそのような高電圧の流れる電線を掌や指に乗せると筋肉が収縮して、二度と離すことができなくなる。
超高圧送電線の説明の前に、まず身近な電柱間の電線である配電線を考える。前述のように、配電線は送電線とは異なるので、これは参考情報である。
電柱間の電線は6600Vの三相交流で、絶縁被覆された電線が3本使われている。この1本にカラスなどが止まっている光景は良く見られるが、この鳥は感電していない。
しかし配電線に止まった鳥が感電しない理由は、絶縁被覆とは無関係である。鉄道の架線の場合、交流なら20000Vないし25000V程度もあり、しかもむき出しの裸電線だが、ここに鳥が止まっても感電しない。
鳥は二本の脚で同じ電線に掴まるので、鳥の左右の脚間について考える。僅かな距離だが、この間の電線の抵抗値は限りなく0Ωに近い。一方、鳥の抵抗は(測ったことがないので良く分からないが)ある程度の抵抗値、数千Ωくらいは少なくともあるだろう。
電気は、抵抗値の小さい方を通るという特徴があるため、抵抗値の小さい電線をそのまま流れ、わざわざ抵抗値の高い鳥の中を流れないのである。従って、鳥は感電しない。
超高圧送電線では無条件で感電する理由する理由は更に後述するとして、電柱間の配電線が裸電線だった時に、大きな鳥がこのうち2本の電線にまたがって止まった場合を考える。これは、いかに鳥であっても感電する。
三相交流の電線3本の各電流は位相が違うことから線間電圧が存在し、それぞれの間には電位差がある(電圧がかかっている)。一般に6600Vと呼ばれている電柱間の電線の電圧は、この線間電圧である。このため、電気は鳥の一本の脚から、体を通りもう一本の脚まで6600Vの電圧が掛かる。つまり鳥は感電する。そのうち焼き鳥になって落ちてくるだろう。
裸電線に掴まりながら、木の実などをついばんだ場合も、同様にして感電する。
超高圧送電線の場合、送電線を念入りに絶縁したとしても、接触はおろか、接近しただけでも感電してしまう。
高圧を絶縁できるだけのゴム手袋とゴム長靴を装備し念入りに対抗したとしても、超高圧送電線に接触あるいは接近すれば感電する。
手で触ったと想定すると、これは、接触した電線と手、そして足と地面または別の電線との間に、コンデンサーが形成されたとみなせる状態になるからである。コンデンサーは、絶縁体を挿んで金属板を向かい合わせた電子部品だが、電線と生物が導電体なので、間の絶縁体がコンデンサーの金属板ではさんだ絶縁物と同じになって、結果として鳥や人に電流が流れるため感電してしまう。
また、直接超高圧送電線の場合は触れなくても空気が絶縁体となるため、実際には接近しただけで感電する。50万ボルト(ピカチュウ5匹分)の超高圧送電線の場合、数メートルまで接近すると感電すると言われている。
交流の電源に直列に挿入したコンデンサーの場合、交流の周波数が高いほど、電圧が高いほど、コンデンサーの容量が大きいほど、流れる電流は大きくなる。コンデンサーの容量は、絶縁物が同じであれば、金属板の面積が広いほど、金属板の間隔が狭いほど、大きくなる。
このように絶縁しても無駄なことも、超高圧送電線がむき出しのアルミニウムを使う理由の一つである。
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