ウイルス

ウイルスの基本的な活動は、次のようなものである。

• 他の生物の細胞に勝手に侵入する(この被害者をホスト細胞という)
• その細胞の蛋白質合成機構や代謝機構を勝手に使う
• 自分に必要な蛋白質をホスト細胞に作らせて複製する
• ホスト細胞から抜け出す

このような単純な活動のみを行なうが、乗っ取られたホスト細胞は正規の活動が出来なくなってしまう。

ウイルスは、大きくDNAウイルスとRNAウイルスに分けられ、それぞれが一本鎖か二本鎖かに分けられる。

生物として扱われていないウイルスは分類も生物とは異なり、ウイルス学においてのウイルスの分類は、ゲノムの型などに応じて7種類の綱に分け、綱→目→科→亜科→属→種と細分する。

綱は、第1綱から第7綱(英語ではClass Ⅰ〜Ⅶ)まであり、次のように分類されている。第1綱と第2綱がDNAウイルスで、それ以外はRNAウイルスである。

• 第1綱 ‐ 二本鎖DNAウイルス
• 第2綱 ‐ 一本鎖DNAウイルス
• 第3綱 ‐ 二本鎖RNAウイルス
• 第4網 ‐ 一本鎖プラス鎖RNAウイルス
• 第5網 ‐ 一本鎖マイナス鎖RNAウイルス
• 第6網 ‐ 一本鎖プラス鎖RNAウイルス(中間体型)
• 第7網 ‐ 二本鎖DNAウイルス(中間体型)

第6網は一本鎖プラス鎖RNAウイルスだが、第4網とは異なり、逆転写酵素によってまず二本鎖DNAの中間体を作るのが特徴である。

第7網は二本鎖DNAウイルスではあるが、第1綱と異なるのはRNAがゲノム複製の中間体となる点である。

日常よく目にするウイルスには、次のようなものがある。

• 第1綱(二本鎖DNA)
  • アデノウイルス科
    • ヒトアデノウイルス (結膜炎など)
  • ヘルペスウイルス科
    • アルファヘルペスウイルス亜科
      • HHV-1 単純ヘルペスウイルス1
      • HHV-2 単純ヘルペスウイルス2
      • HHV-3 水痘・帯状疱疹ウイルス (水痘)
    • ベータヘルペスウイルス亜科
      • HHV-5 サイトメガロウイルス(CMV)
    • ガンマヘルペスウイルス亜科
      • HHV-8 カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス
  • ポックスウイルス科
    • 痘瘡ウイルス
• 第2綱(一本鎖DNA)

  (特になし)

• 第3綱(二本鎖RNA)

  (特になし)

• 第4網(一本鎖プラス鎖RNA)
  • ニドウイルス目
    • コロナウイルス科
      • SARSコロナウイルス
      • MERSコロナウイルス
  • その他の目
    • カリシウイルス科
      • ノロウイルス属
        • ノーウォークウイルス
    • ピコルナウイルス科
      • A型肝炎ウイルス
    • フラビウイルス科
      • C型肝炎ウイルス
      • 西ナイルウイルス
• 第5網(一本鎖マイナス鎖RNA)
  • モノネガウイルス目
    • フィロウイルス科
      • エボラウイルス
      • マールブルグウイルス
    • パラミクソウイルス科
      • 麻疹ウイルス
    • ラブドウイルス科
      • ベシクロウイルス属
        • 水泡性口内炎ウイルス
      • リッサウイルス属
        • 狂犬病ウイルス
  • その他の目
    • オルソミクソウイルス科
      • インフルエンザウイルス
    • ブニヤウイルス科
      • クリミア・コンゴ出血熱ウイルス
    • アレナウイルス科
      • ラッサウイルス
• 第6網(一本鎖プラス鎖RNA)
  • その他の目
    • レトロウイルス科
      • HIV
      • SIV
• 第7網(二本鎖DNA)
  • その他の目
    • ヘパドナウイルス科
      • B型肝炎ウイルス