線路別複々線

読み:せんろべつふくふくせん
品詞:名詞

複々線の形態の一つ。同一方向の線路が隣り合っていない配線の方式。

目次

配線

簡単には「上下上下」のように配線されているものをいう。また、トンネル区間などで二層になっているものも、線路別複々線と呼ばれる。

工事はやりやすいが、中間の駅では乗る方向が同じでもホームが別々になり、乗り換えが面倒という欠点がある。

皮肉を込めて「複線並列」と呼ぶ人もいる。

日本

JRなら、JR総武線快速などが該当する。私鉄では南海などに見られる。

日本では国鉄の通勤五方面作戦に伴い、昭和40年代に線路別複々線が大量に作られた。

分離

複々線は複線が二つ並走するものだが、それぞれの複線ごとに、次の何れかに分類可能である。

  • 旅客線同士の分離
  • 旅客線と貨物線の分離

貨物線は元々は貨物列車専用に作られた線路だが、現在はその需要低減から貨客両用で使われることが多い。関東圏でも、湘南ライナー湘南新宿ライン、成田エクスプレスなどが貨物線を走行する。

条件

線路が四本並んでいても、それだけで複々線とは呼ばれない。

双方の線路区間に互換性があることが最低条件で、同じ事業者の線路であっても相互に互換性がない(軌間電車線の敷設方法や電圧等の条件が異なる)場合は、それぞれは別線の並走として扱われ、複々線とは呼ばない。

日本国内の鉄道の、主な線路別複々線は次の通りである(概ね北から西方向)。

旧国鉄・JR

旅客線同士の分離

旅客線と貨物線の分離

  • JR東日本
    • 東北本線(東北貨物線) (湘南新宿ライン)
      • 田端(付近)〜王子(付近)〜大宮

      上中里と王子の途中で貨物線が明確に分離する

    • 山手線(山手線貨物線) (埼京線、湘南新宿ライン、成田エクスプレスなど)
      • 品川〜池袋
    • 東海道本線(東海道貨物線) (湘南ライナーなど)
      • 鶴見〜小田原

      貨物線は生麦付近で分離し、横浜羽沢駅を経由して東戸塚の手前で横須賀線が走る線路に合流する

  • JR東海
    • 東海道本線(貨物線)
      • 名古屋〜稲沢
  • JR西日本
    • 東海道本線(貨物線)
      • 吹田〜尼崎
        • 北方貨物線 (吹田〜新大阪〜尼崎。新大阪から西は山陽新幹線の高架下を走る)
        • 梅田貨物線 (吹田〜新大阪。貨物線自体は、新大阪〜阪急・中津(付近)〜福島〜西九条まである)
        • 片町線貨物支線(城東貨物線) (吹田〜仮称西吹田)
  • JR九州
    • 門司〜小倉〜折尾

      門司〜東小倉貨物駅は方向別複々線

      戸畑〜枝光は、旅客線と別経路

      陣原〜折尾は現在は福北ゆたか線が走る、鹿児島本線の折尾駅を通らずに東と南を結ぶ短絡路線である。

関東圏私鉄

  • 東京地下鉄(東京メトロ)
    • 有楽町線副都心線
      • 小竹向原〜池袋

      副都心線が走る小竹向原〜池袋の路線名は「有楽町新線」

  • 小田急電鉄
    • 小田原線
      • (東北沢〜世田谷代田) (建設中)

      代々木上原〜登戸が複々線区間で、東北沢〜世田谷代田以外は方向別複々線

  • 京王電鉄
    • 京王線・京王新線
      • 新宿〜笹塚

      笹塚以西はただの複線だが、笹塚は方向別の配線になっている

中部近畿圏私鉄

  • 阪急電鉄
    • 神戸本線・宝塚本線・京都本線
      • 梅田〜十三

      線路別三複線である。唯一の途中駅中津には京都本線のホームはない。

  • 阪神電気鉄道
    • 本線・阪神なんば線
      • 大物〜尼崎
  • 南海電気鉄道
    • 南海本線・高野線
      • 難波〜岸里玉出

      複々線区間 難波〜住ノ江間において、岸里玉出から住ノ江までは方向別。

      今宮戎と萩ノ茶屋には南海本線のホームはない。このため高野線の列車は「普通」、南海本線の列車は「各駅停車」と呼び分け、乗り間違いを避けようとしている。

用語の所属
線路
複々線
関連する用語
方向別複々線
複線

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