コンコルド

読み:コンコルド
外語:Concorde フランス語
品詞:固有名詞

1956(昭和31)年頃から、イギリス、フランス両国ではそれぞれ独自に超音速ジェット旅客機(SST)の研究を始めていたが、双方の機体規模が類似していたことから共同開発に歩み寄る事となった。この共同開発は1962(昭和37)年11月29日に正式に調印され、開発主担当はBAC(現BAE)とシェド(現アエロスパシアル・マトラ)となった。

ちなみに、「コンコルド」という名は愛称ではなく正式名称である。これは開発が開始された直後に当時のフランス大統領ド・ゴールがこの計画機をフランス語で「協調」を意味する「コンコルド(concorde)」と呼び、それがそのまま機体の名称として使われるようになったというものであった。

機体の特徴は、主翼にオージー翼を採用していることであり、前縁フラップ、スラット、スポイラー、後縁フラップなどは無く、舵面は片翼3枚のエレボンのみとなっている、水平尾翼は無く、垂直尾翼のみで、ラダーは上下2枚に分かれており、これら操縦系統にはFBWが使用されている。エンジンは2基ずつまとめてナセル内に収められ、主翼下面に取り付けられている。

胴体は非常に細長く、客室は横4列配置のファーストクラス100席、貨物室は床下と客室最後部に設けられている。機首は鋭く尖り、視界確保のため離着陸時には下方に折れ曲がるほか、超音速飛行中の抵抗を削減するため、操縦室風防前面を覆うバイザーと呼ばれる整形覆いも装備されている。

原型1号機は1969(昭和44)年3月2日に初飛行し、1976(昭和51)年1月21日にブリティッシュ・エアウェイズ(BA)とエールフランス(AF)において各々ロンドン―バーレーン間、パリ―ダカール―リオデジャネイロ間で就航を開始した。料金は通常のファーストクラスと同程度であるが、ほぼ半分の時間で到着するため、ビジネスマンを中心に利用客はそこそこいた。

しかし、開発期こそ "航空業界の大革命" とまでもてはやされていたが、速さを追求するために機体は細身の流線型にならざるを得ず、客席数は少なく、一方燃料消費量は膨大である上、離着陸時の騒音や大気汚染も問題となったため、運行当初から国家の威信的側面に頼りかかり、商業的成功は望むべくも無いことが分かっていた。そのため、生産機数も原型 2機、準量産型 2機、量産型16機で1979(昭和54)年には早々と生産完了されている。

2000(平成12)年7月25日、パリからニューヨークに向かったエールフランスの1機がシャルル・ド・ゴール空港を離陸直後、タイヤのパンクを引き金としたエンジンの出火により乗員乗客全員の109名の他地上の巻き添えの4名の計113人が死亡するという初飛行以来初となる墜落事故を起こしている。

事故調査委員会の最終報告書によれば、この事故の原因は、事故機の前に離陸した米コンチネンタル航空のDC10型機から脱落し、滑走路上に落ちていた金属片が、事故機のタイヤを損傷。剥離したタイヤ片が燃料タンクを破壊。タンクに傷がついて燃料が漏れ、電気コードかエンジンの熱で発火し、火災が発生。その結果、事故機は墜落したという。

暫定調査結果が出、問題のタイヤも仏ミシュラン社によって新しい耐久性の高い物が開発され、燃料タンクも補強された。これらを受けて、2001(平成13)年11月7日、運航は再開された。しかし、911事件後の航空不況もあり、搭乗率はBAで5割、AFに至っては2割に過ぎなかった。もともと通常の3倍もかかる高い燃料費は重くのしかかっており、航空不況のダメージを受けた両社には運航を続けるゆとりが無くなってしまった。そのため、運航再開からわずか一年半後の2003(平成15)年4月10日、夏季スケジュールが終わる10月末で運航停止とすることを発表した。特にエールフランスはスケジュール上は10月末まで残るものの、運航は5月末で打ち切り、6月以降は運休するとした。

この発表を受けて、イギリスでのBAのライバル会社であるヴァージン・アトランティック航空がBAの運航機の買い取りを申し出ているがBAは受け入れていない。

コラム(機体データー)
全幅 25.56m, 全長 62.10m, 全高 11.40m, 翼面積 358.8m^2, 運行自重
78,700kg, ペイロード12,700kg(最大), 総重量 185,065kg, 発動機 PR/SN
ECMAオリンパス593Mk.610(17,260kg)*4, 燃料容量 119,790L, 最大運用
マッハ数 M2.04, 最大巡航速度 2,180km/h(高度15,640m), 亜音速巡航
マッハ数 M0.93(高度11,200m), 離陸速度 400km/h, 着陸速度 300km/h,
実用上限度 18,290m, 海面上昇率 1,525m/min, 航続距離 6,230km(最大ペ
イロード時), 6,580km(最大燃料搭載時), 離陸滑走路長 3,410m, 着陸滑
走路長 2,220m, 乗員 3名, 乗客 100名
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