統帥権干犯問題

読み:とうすいけんかんぱんもんだい
品詞:名詞

統帥権は首相の影響の及ぶ国務から独立(統帥権の独立)して、天皇の持つ大権であったが、それを政府が干犯したとする問題。

目次

まず、統帥に関わる事項(軍令事項)と、軍政事項の区分は難しかった。

昭和期の軍部では軍部独裁を推し進めるためにこの統帥権を濫用し、ありとあらゆる事を統帥権として、もって「それは統帥権の干犯である!」として政府側が干渉することを許さなかった。

この統帥権干犯問題の代表的な件は、ロンドン海軍軍縮条約調印である。

ワシントン海軍軍縮条約で苦湯を飲まされた海軍の艦隊派の筆頭格であった加藤寛治海軍軍令部長と末次信正海軍軍令部次長は、条約派筆頭のワシントン海軍軍縮条約時代の加藤友三郎海軍大臣が既にこの世に無く、その一方で自分たちの側には東郷平八郎元帥海軍大将と伏見宮博恭王の後ろ盾を持っていたことから強行になり、自分達の同意無く条約を締結したことは、統帥権干犯であると主張した。

これに、野党の犬養毅率いる政友会が結託し、激しく政府を攻撃したのである。

しかし後年、犬養毅首相は軍部独裁を推し進める海軍青年将校の五・一五事件によって殺害されてしまう。自業自得の結末であった。

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