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『竹取翁伝』から発展した文学で、901(延喜元)年〜956(天暦10)年頃成立だろうと考えられている。平安中期には「竹取の翁の物語」や「かぐや姫の物語」とも呼ばれた。
作者未詳。源順(したごう)、源融(とおる)、僧正遍昭などの説がある。
『源氏物語』には「物語の出できはじめの祖なる竹取の翁」と記されている。これが "物語文学の祖" と呼ばれるゆえんである。
構成は三部。第1部は "かぐや姫の生い立ち" 、第2部は"五人の貴族と帝の求婚" 、第3部が "かぐや姫の昇天" となっている。それぞれの部立ては古典の説話が元になっており、第1部は "竹取翁譚"、第2部が "妻争い説話"、第3部が "羽衣伝説" を元にしている。
第1部・第3部が幻想的にあるのに対し、第2部の求婚譚は写実的で笑いの要素が濃い世態小説になっている。
今は昔、竹取の翁といふものありけり。野山にまじりて竹を取りつゝ、よろづのことに使ひけり。名をば、さかきの造となむいひける。その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり。
今は昔のことです、竹取の翁という人がいました。野山に分け入って竹を取ってはいろいろなことに使っていました。名をさかきの造と言った。その竹の中に、根本が光る竹が一筋ありました。不思議に思って寄って見てみると、筒の中が光っていた。
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