QRコード

読み:キューアーコード
外語:QR code: Quick Response code 英語
品詞:名詞

電子計算機に読み込ませる事を前提に作られた、情報を持たせた模様。マトリックス型の2次元コードである。

目次

形状等

2次元2値情報符号であり、数cm角の領域に■部分と空欄部分を作っている。それを組み合わせ情報を構成することで、延いては数字や記号などを表現している。

QRコードの例
QRコードの例

QRコードで特徴的な、三つある□の中の■のパターンは「切り出しシンボル」と呼ばれ、QRコードの位置検出のためのパターンである。

現在あるのは、次の三種類。

  • QRコード モデル1
  • QRコード モデル2
  • マイクロQRコード

モデル1は最初に作られたものだが、使用は推奨されないものとなっている。現在流通しているQRコードはほぼ全てがモデル2である。

利点

現在主に使われている1次元のバーコード(JANコード)は、数字だけを十数桁しか記録できない。

対しQRコードは英数漢字が扱え、数字だけなら最大7,089桁、英数字なら最大4,296桁、8ビットバイナリで最大2,953オクテット、漢字の場合で最大1,817字まで記録できる。

他の2次元コードと比較し、圧倒的な大容量、省スペース、高速読取が可能で、用途を問わずさまざまな利用が可能である。

また誤り訂正機能も持ち、コードの一部が汚れたりしていても、ある程度までは自動的に修復して読み取ることができる。

規格化

QRコードは株式会社デンソーの一部門(後の株式会社デンソーウェーブ)により開発された。

これが、JIS X 0510:1999、およびISO/IEC 18004:2000として標準化された。つまり日本のみならず、国際的な標準として利用できることが保証されている。

QRコードの特許はデンソーウェーブが保有(特許第2938338号)しているが、この権利を行使しない旨を宣言しており、自由に利用できる。

携帯端末

携帯電話機でも読み取りに対応した端末がある。

このような端末では入力が困難な、WebサイトURLなどをQRコードとして読み取らせる、といった用途が想定されているようだ。

概略仕様

QRコードの概略仕様は、次の通りである。

  • コードの大きさ ‐ 21セル×21セル〜177セル×177セル (4セル/辺毎に増加可能)
  • 情報種類と情報量(混在可)
    • 数字 ‐ 最大7,089文字
    • 英数字 ‐ 最大4,296文字
    • 8ビットバイナリ ‐ 最大2,953文字
    • 漢字 ‐ 最大1,817文字
  • 誤り訂正能力(復元可能な量)
    • レベルL ‐ コードワードの約7%
    • レベルM ‐ コードワードの約15%
    • レベルQ ‐ コードワードの約25%
    • レベルH ‐ コードワードの約30%
  • コード連結機能 ‐ 最大16分割 (細長い領域などへの印刷対応)

QRコードの大きさは「バージョン」と呼ばれる。

バージョン1(21セル×21セル)から始まり、縦横それぞれ4セルずつ増え、最大でバージョン40(177セル×177セル)までが定義されている。

なお、セルとは■または空白の置かれる一マスのことをいう。

扱える文字詳細

  • 数字(0〜9)

    3文字を10ビットで表現する。理論上は最大7,089文字。

  • 英数字

    数字は0〜9、英字はA〜Z、記号類は$%*+-./:の、合計45文字に対応。

    2文字を11ビットで表現する。理論上は最大4,296文字。

  • 8ビットバイナリ

    理論上は最大2,953文字。

  • 漢字

    漢字1文字を13ビットで表現する。理論上は最大1,817文字。

容量

最も小さいバージョン1(21セル×21セル)から、バージョン10までの容量は次の通りである。

バージョンセル数誤り訂正レベル数字英数字バイナリ漢字
121レベルL41251710
レベルM3420148
レベルQ2716117
レベルH171074
225レベルM63382616
レベルQ48292012
レベルH3420148
329レベルM101614226
レベルQ77473220
レベルH58352415
433レベルM149906238
レベルQ111674628
レベルH82503421
537レベルM2021228452
レベルQ144876037
レベルH106644427
641レベルM25515410665
レベルQ 1087445
レベルH 845835
745レベルM29317810675
レベルQ2071257453
レベルH154935839
849レベルM36522115293
レベルQ25915710866
レベルH2021228452
953レベルM432262180111
レベルQ31218913080
レベルH2351439860
1057レベルM513311213131
レベルQ36422115193
レベルH28817411974

誤り訂正能力を強化すれば、その分格納できる容量は少なくなる。

注意事項や推奨値

コードの大きさは「セルサイズ」「バージョン」「誤り訂正レベル」の三つで決まる。

  • セルサイズ ‐ 実際の■や□の大きさ。大きくするとコードが大きくなるが、小さ過ぎると読めなくなる
  • バージョン ‐ 縦横のセル数のこと。17+バージョン×4セルである。
  • 誤り訂正レベル

携帯電話機等では、読み取る機能を搭載したものが多い。これら機種で安全に読み取れるようにするには、次のような仕様とする。

  • モデル ‐ モデル2

    モデル1やマイクロQRコードの対応は未保証

  • セルサイズ ‐ 0.35mm

    NTTドコモは0.28mm以上、auソフトバンクモバイルは0.25mm以上を推奨している。

    多少の余裕を見て、0.35mm以上が推奨される。但し、あまり巨大すぎると携帯電話機のカメラで撮影できなくなるので注意。

  • バージョン(セル数) ‐ 1〜10

    携帯電話会社各社で、この範囲を推奨している。

  • 誤り訂正レベル ‐ レベルQ
  • セル色 ‐ 黒
  • 背景色 ‐ 白
  • 上下左右の余白 ‐ 5セル分

    仕様上、最低でも4セル以上の余白が必要だが、安全のため5セル程度確保する。

    1セル0.35mmとすると、0.35mm×5=1.75mmである。

雑誌等の印刷では、オフセット印刷またはグラビア印刷が使われる。活版印刷はかなり難しい。

マイクロQRコード

QRコードは切り出しシンボルが三つの角にあるため、シンボルサイズを21セル×21セル以下にすることが出来ないという仕様が存在する。

そこで1997(平成9)年、新たに開発されたものが、切り出しシンボルを一つとした「マイクロQRコード」で、最低で11セルまで小型化できる。こちらも規格、特許、権利行使しない旨はQRコードと同様となっている。

バージョン(大きさ)はバージョンM1(11セル)からバージョンM4(17セル)までの四種類があり、バージョンが上がるごとに縦横それぞれ2セルずつ増える。

バージョンセル数誤り訂正レベル数字英数字バイナリ漢字
M1115
M213レベルL106
レベルM85
M315レベルL231496
レベルM181174
M417レベルL3521159
レベルM3018138
レベルQ211395
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