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1572年11月(元亀3年9月)出現した超新星。ティコ・ブラーエが観測し記録に残したため、ティコの超新星などと呼ばれる。
1572年11月(元亀3年9月)出現し、1574(天正2)年3月に肉眼では見えなくなるまで、多くの人に発見された超新星である。
ティコ・ブラーエは恐らくこの超新星の最初の発見者ではないが、しかし恐らくこの天体を最も正確に記録に残した人物であるため、ティコの超新星などと呼ばれるようになった。
ティコは、ラテン語でde stella nova(新しい星について)と題する本を出版した。現在では実際は新しく生まれた星ではないことが分かっているが、ここでnovaという呼び方をされたことが後の新星や超新星という呼び方の始まりであり、今も変わらずその呼び方が使われている。
この超新星の距離は、近年では2.5〜3kパーセク(約8,000〜9,800光年)とされていて、その場所こそ全く異なるが観測史上最古とされる超新星SN 185と距離は概ね近い。ただしガイア衛星の観測では約約6400光年とされている。
超新星残骸の観測と研究により、現在ではこの超新星はⅠa型超新星だったことが分かっている。元々は白色矮星と通常の恒星からなる近接連星だったと考えられ、恒星から白色矮星へとガスが降着して徐々に白色矮星の質量が増え、やがてチャンドラセカール限界を超え超新星爆発した。
一般にⅠa型超新星は、かに星雲(M1)に代表されるⅡ型超新星と違って目立った星雲を作らない。このSN 1572の超新星残骸も同様で、目立った星雲を作っていない。
2004(平成16)年になり、その相方の恒星が発見された。この恒星は太陽の色調に近いG2型の恒星で、しかし太陽よりは進化している準巨星である。非公式だが、ティコG(Tycho G)という名前が自然発生している。
爆発の当時既に準巨星だったと考えられているが、超新星爆発の影響により外層の一部が剥ぎ取られた上、衝撃波で加熱されたと考えられる。
しかも、相方だった白色矮星が消えてしまったので、この恒星は弾き飛ばされて単独で銀河系内を高速移動している。この移動速度については当初は約9000光年で136km/s(117.5km/cBeat)と計算されていたが、ガイア衛星の2018(平成30)年4月の2回目のデータ公開(DR2)で天体までの距離が約6400光年とされたため、これに基づくとその移動速度は56km/s(48.4km/cBeat)に下方修正されることになる。
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