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時空の歪みが波動として伝播する現象のこと。「時空の波」や「時空の音」とも言われる。
提唱された20世紀より重力波の研究は続いていたが、直接観測は長く実現しなかった。
初めて重力波の検出に成功し、実在を証明できたのは、重力波観測所「LIGO」観測チーム、カリフォルニア工科大学、マサチューセッツ工科大学の共同研究チームである。2015(平成27)年9月14日、ワシントン州ハンフォードとルイジアナ州リビングストンに設置されているレーザー干渉計型重力波検出器「LIGO」(Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory)が重力波を検出した。観測データ解析により、日本時間で2016(平成28)年2月12日未明、重力波が検出されたことが発表された。
この時検出された重力波は、約13億年前に太陽の29倍と36倍の質量を持つ二つのブラックホールが合体して一つになった際、太陽3個分の質量がエネルギーに変換されて放出されたものだった。今回のLIGOの観測では重力波源の方向を特定できなかったが、ビングストンがハンフォードより7ミリ秒記録が早かったため、南半球側の空域からのものと推定されている。
中性子星やブラックホールの衝突といった大きな重力波は観測可能となったが、大きな波があるなら、小さな波もあると考えられる。こういった弱い重力波は、周波数が極めて低い、つまり波長が極めて長いため、歪める時空の度合いも数百ナノ秒程度となるため検出が難しい。
そこでアレシボ天文台とグリーンバンク望遠鏡が連携し、銀河系全体に散らばる45個のパルサーの光を13年以上にわたり調査することで、重力波の検出を試みた。つまりパルサーを銀河サイズの重力波検出器として用いたわけである。この結果、2021(令和3)年1月に研究チームは重力波とは断定はできないものの、その可能性が高い「強い信号」が見つかったと発表した。
チームは今後、より多くのパルサーを観測することで重力波の影響がどのパルサーに現われるかを観測、発生源がどこにあるかかを突き止めたいとしている。
重力波を観測するためには、重力波による空間の伸び縮みを測定する方法を採る。空間の伸縮を観測するためには、レーザー干渉計を用いる手法が一般的である。
感度を高めるためにはまず基線長が重要となり、可能な限り長くする必要がある。これを著している時点で最長は基線長4kmのLIGOであり、これに基線長3kmとなる日本のKAGRAやイタリアのピサVIRGOが続いている。
重力波源の方向を特定するためには少なくとも3台以上での観測が必要で、観測された時間差から方向の特定が可能である。これについては世界各国が協力しあうことで実現することが可能である。
将来的には欧州宇宙機関(ESA)がeLISAとして、宇宙重力波望遠鏡(アンテナ)を用い基線長は500万kmを達成する目標を掲げている。日本でもDECIGOとして重力波望遠鏡が計画されており、JAXAは2009(平成21)年に小型実証衛星1型(SDS-1)を打ち上げ軌道上で実験を実施した。
重力波観測については、日本のほか欧米でも行なわれており、様々な重力波検出器が用いられている。
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