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光や電流などの物理現象が、波のような性質と粒子のような性質を併せ持つこと。
光は光子という素粒子、電流は電子という素粒子がその正体であることが現在では分かっている。しかし最初からそれが分かっていたわけではない。
19世紀までに、物質は原子という粒子からなるという原子論は確立していた。電流も、古くは水のような物質の流れと考えられていたものが、電子という粒子の流れであることが分かるようになった。
また波動の存在も分かっており、この頃には回折や干渉といった現象が実験によって理解が進んでいた。トーマス・ヤングの光の干渉実験やフラウンホーファー回折などは19世紀の頭に行なわれている。
光については、19世紀で既に粒子説と波動説に分かれていたが、トーマス・ヤングの干渉実験によって波動の性質が示されたことで光は波動であると考えられつつあった。しかし20世紀に入るとアインシュタインは光電効果の実験で光が粒子の性質を持つことを示し、後にコンプトン効果が発見されたことで、やはり光は粒子としての性質を持つことが再確認された。さらに、それまで粒子だと考えられていた電子にも電子回折が発見され、電子は波動の性質を持つことが示された。
かくして、波動の性質と粒子の性質という、互いに相容れなさそうな性質は実は共存するという二重性が発見され、これが量子力学の誕生へと繋がっていった。
物質の最小単位は原子であるが、量子力学では更に細かく分割することができ、最小単位は素粒子である。最小単位である素粒子はそれぞれ特有の機能を持っていて、その組み合わせによって原子などの種類が決まる。ただしこの素粒子とは、量子を客観的に認識できる状態で表現したものに過ぎない。
量子力学において「量子」は、「素粒子」(物質)として認識される前は「波動」(エネルギー状態)として存在している。つまり量子は物質ではなく波動性を持ったエネルギー状態として存在しているが、外部から観測のエネルギーを受けた瞬間に一点に収縮した粒子、つまり素粒子となって出現する。この現象を、波動関数の収縮(=デコヒーレンス)、または観測者効果と呼ぶ。
波動関数の収縮により、「観測」した時にはじめて状態が確定され他の状態は消失することになるが、これは二重性はどちらかを観測した時点でもう片方は消えてしまい観測できないことと同義である。従って、粒子と波動の確定的な同時観測は不可能、と言うことになる。
二重性を確認する代表的な実験が二重スリットを用いた干渉実験である。二つのスリットから出てきた波動は、互いにぶつかり、強め合ったり弱め合ったりする反応を示す。これは波として干渉を起こすためである。この結果、干渉縞が見られるのが二重スリット実験となる。
しかしこの電子が実際にどのように運動しているのか、その位置と運動量は同時に計測できない。位置を確認すると運動量(≒速度)は分からなくなり、速度を確認すると位置は分からなくなる。この問題があるため1個の光子や電子が二本のスリットのどちらを、どのように通過するのか、は観測できないことを意味する。
しかもこの実験は、仮に電子を1個ずつ発射しても同じ結果が得られるという問題がある。これは電子1個でも、観測されなければそれは波動の状態となっていて、二つのスリットの両方を通過し、その後その波動が互いに干渉して干渉縞を作るからである。
直接観測さえしなければ干渉縞が現れるため波動と粒子の二重性を確かめることができる。しかし、通過した瞬間を観測することはもちろん可能ではあるが観測した時点で粒子となってしまい波動の性質が消えてしまうため、干渉縞が現われなくなってしまうのである。
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